目次
「欠格事由」って何?古物商許可の仕組みをやさしく解説
メルカリ副業やリユースビジネスの第一歩
近年、メルカリやネットオークション、中古家電・中古車の販売をきっかけに、個人でリユースビジネスを始める人が増えています。
「副業でちょっと始めたい」「空きスペースを活用したい」という人にとって、古物商許可はスタートライン。市川・船橋・松戸などでも、この申請をきっかけに小さな商いを始める方が少なくありません。
ところが、「申請すれば誰でも通る」と思い込んでいる人が多いのも事実です。実際には、法律上の要件を満たしていないと、申請をしても許可が下りないケースがあります。ここで登場するのが「欠格事由(けっかくじゆう)」です。
欠格事由とは「許可を出せない」条件
古物商許可の審査では、「この人(または会社)に許可を与えても問題ないか」という点が、まずチェックされます。
もし申請者が一定の条件に当てはまる場合、法律上、警察署(公安委員会)は許可を出すことができません。これが「欠格事由」です。
たとえば、過去に刑事罰を受けた人、破産手続中の人、暴力団関係者などが該当します。
申請書類の内容よりも前に、この「欠格事由」に引っかかると、それだけで不許可となる可能性があります。
なぜ欠格事由があるのか
古物商は、基本的に中古品の売買を行うため、「盗品の流通防止」や「取引の透明性確保」が強く求められる分野です。
中古車、中古家電、ブランド品、金券など──一見すると日常的な商品でも、犯罪に利用されるおそれがあるため、申請者の信用性はとても重要になります。
とくにネットを通じたECビジネスが活発化した今、審査は年々厳しくなっています。メルカリのようなCtoC取引でも、一定の規模になると「事業」とみなされるケースがあるため、「副業だから大丈夫」という考えは通用しません。
事前に理解しておくと安心
欠格事由に該当しないかどうかは、申請のタイミングより前に確認しておくことが大切です。
「こんな理由で許可が下りないなんて知らなかった…」という声は少なくありません。
特に法人の場合は代表者だけでなく、役員全員が対象になるため、事前チェックは必須といえます。
この章では制度の背景を整理しました。
次章では、実際にどのようなケースが「欠格事由」に当たるのか、よくある5つのパターンを具体的に見ていきましょう。
許可が下りない主なケース5選
「欠格事由」は実は身近な落とし穴
古物商許可の申請では、書類の整い具合よりも先に「この人に許可を出して問題ないか」が審査されます。
欠格事由は特別な犯罪者だけが対象になるわけではなく、「知らないうちに該当していた」というケースも多いのが特徴です。
ここでは、申請が不許可になる代表的な5つのパターンを紹介します。
① 前科がある場合(拘禁刑(旧:禁錮刑・懲役刑)・罰金刑)
古物商許可の審査では、「過去にどのような刑罰を受けたか」が非常に重視されます。
古物営業法第4条第1項第1号では、
「禁錮以上の刑」または一定の罪により罰金刑を受けた日から5年以内の者は欠格事由に該当すると規定されています。
ただし、2025年6月1日施行の刑法改正により、懲役刑と禁錮刑は統合され、新たに「拘禁刑」が創設されました。
これに伴い、古物営業法の「禁錮以上の刑」は、「拘禁刑」も含む形で読み替えて運用されています。
対象となる主な犯罪
対象となるのは、すべての罰金刑ではなく、以下のような特定の犯罪行為です。
- 古物営業法違反
- 窃盗・詐欺・盗品等関与犯罪
- 暴力行為等処罰法違反 など
これらの犯罪で拘禁刑または罰金刑を受けた場合、刑の執行終了または免除の日から5年を経過していないと許可は下りません。
交通違反はすべてが対象ではない
「交通違反でもダメなの?」と不安になる方も多いのですが、ここは大きな誤解ポイントです。
交通違反のうち、反則金(青切符)扱いは欠格事由に該当しません。
一方、赤切符による罰金刑(刑事事件扱い)の場合は対象となることがあります。
したがって、「うっかりの交通違反」=すべてアウト、ではありません。
処分内容が罰金刑に当たるかどうかを、申請前にしっかり確認しておくことが重要です。
法改正期の「言葉のズレ」に注意
現在も、警察窓口や申請書では旧来の「禁錮以上の刑」という表現が残っているケースがあります。
実際の審査では拘禁刑を含めて判断されるため、
「禁錮(現:拘禁刑)以上の刑」
と理解しておくのが安全です。
② 成年被後見人・被保佐人である場合
民法上、判断能力が十分でないとされる「成年被後見人」や「被保佐人」は、古物商許可の対象外とされています。
中古品の売買には金銭管理や契約判断が伴うため、申請時点でこの状態にある場合は不許可です。
③ 破産手続中である場合
破産手続が終了していない人は、欠格事由に該当します。
破産手続中は「財産管理能力に制限がある」とみなされるためです。
ただし、免責許可が確定していれば申請可能になるケースもあります。
過去に破産歴がある方は、免責の時期と申請のタイミングをしっかり確認しましょう。
④ 暴力団関係者である場合
暴力団関係者やその関係企業が関与している場合は、当然ながら許可は下りません。
申請者本人だけでなく、役員・共同経営者・営業所の実質的支配者まで対象になります。
「名義は自分だけど、実態は別の人が運営」というケースは厳しく審査されます。
⑤ 過去に許可取消処分を受けている場合
過去に古物商許可を取り消された人も、一定期間は新たな申請ができません。
再申請には要件を満たす必要があり、取消理由によっては不許可が続くこともあります。
法人の場合は「役員全員」が対象
法人で申請する場合、欠格事由に該当する人が役員に1人でもいると、許可は下りません。
たとえ代表者が問題なくてもアウトになるため、役員全員の経歴確認は必須です。
「自分は大丈夫」と思っていても
上記の条件は一見すると遠い世界の話に見えますが、実務では申請が止まる原因の多くがこの5項目です。
特に交通違反や破産などは、「知らなかった」「昔のこと」と見落とされやすいポイント。
次章では、こうした「法律上の欠格事由」には当たらないものの、実務上よくある“申請のつまずき”を紹介します。
こんなところで引っかかる?見落としがちなチェックポイント
欠格事由に当たらなくても“落ちる”ことがある
「自分は欠格事由に該当しないから大丈夫」と安心していたのに、実際に申請してみたら書類が差し戻された──そんなケースは決して珍しくありません。
許可が下りない理由は、法律上の欠格事由だけではなく、申請実務上の“つまずき”にも多くあります。
市川・船橋・松戸などの警察署でも、申請窓口でこの段階でストップする人が少なくありません。
申請書の記載ミスや書類不備
意外と多いのが、単純な記載ミスや添付書類の不足です。
たとえば、住所の記載が住民票と一致していない、営業所所在地の表記があいまい、といった小さなズレでも、受理が保留されることがあります。
書類の提出順や形式もチェックされる
警察署ごとに提出書類の扱いに微妙な違いがあるため、書類の順番や押印、日付の書き方などにも注意が必要です。
とくに略歴書や誓約書は、手書きと印刷が混ざっているだけで差し戻されるケースもあります。
略歴書・身分証明書の取り寄せ遅れ
古物商許可の申請には、略歴書とともに「身分証明書(本籍地のある自治体で発行)」が必要です。
この「身分証明書」は、住民票とは別物で、自治体によっては郵送請求に時間がかかることもあります。
身分証明書は早めに動くのが鉄則
特に法人の場合、役員全員分が必要になるため、1人でも遅れると全体の申請が止まります。
余裕を持って取り寄せを始めることが、スムーズな申請の第一歩です。
営業所や居住環境の要件を満たしていない
営業所として登録する場所が、実は要件を満たしていなかった──というのもよくあるトラブルです。
たとえば、自宅マンションの一室を営業所にしたい場合、管理規約で事業利用が禁止されていると申請できないケースがあります。
「使用権限」の証明が重要
賃貸物件の場合は、契約書や使用承諾書の提出が必要です。
「とりあえずこの住所で出してみよう」という申請は、受理段階で止まってしまうこともあります。
共同経営者・役員の経歴確認不足
特に法人申請で多いのが、役員の一部が書類をそろえていなかったというケースです。
代表者が完璧に準備していても、1人でも略歴書や証明書が不足していれば受理されません。
全員分の書類がそろっているかチェックリスト化
「各自で提出しておいて」ではなく、代表者が一括して管理することで、遅れや抜け漏れを防げます。
「準備不足」が思わぬ足かせになる
欠格事由に当たらないのに不許可になる申請の多くは、こうしたちょっとした準備不足が原因です。
とくに2025年以降、千葉県内の警察署では生活安全課の電話予約制が進んでおり、申請のやり直しはスケジュール的にも痛手になります。
次章では、こうしたトラブルを防ぐために、申請前にできる実用的な対策を3つ紹介します。
申請をスムーズに進める3つの対策
ちょっとした準備で申請の流れが変わる
古物商許可の申請は、複雑な法律知識が必要というより、「事前の段取り」が大きなカギを握ります。
欠格事由をクリアしていても、書類がそろっていなかったり、申請スケジュールがずれたりすると、あっという間に受理が先延ばしになってしまいます。
ここでは、初心者でもできる「スムーズに申請を進める3つの基本対策」を紹介します。
① 欠格事由の自己チェックを早めに行う
申請直前ではなく「始める前」に
まずは「そもそも許可を取れる状態か」を早めに確認しましょう。
過去の前科や破産歴、成年後見制度の利用状況など、欠格事由に該当していないかどうかは、申請のかなり前に把握しておくのがおすすめです。
とくに法人の場合は、代表者本人だけでなく役員全員が対象になります。
「ひとり該当していたために申請全体が止まった」というケースも実務ではよくあります。
不安な点は役所に確認してOK
警察署の生活安全課に事前相談することで、申請の可否が明確になる場合もあります。
自分だけで判断せず、早い段階で確認しておくと安心です。
② 書類を一式そろえるタイミングを決める
略歴書・身分証明書の取得はスケジュール管理が命
申請書一式をそろえる際に時間がかかるのが、身分証明書や略歴書の準備です。
役所によって発行までに日数がかかるため、申請の1~2週間前には動き始めるのが理想です。
また、書類は「まとめてチェックする日」を決めておくと、抜け漏れの防止につながります。
特に法人の場合は役員全員分が必要になるので、「誰の書類が足りていないのか」を明確にすることが大切です。
営業所の確認は最優先
賃貸物件を営業所にする場合は、契約書や使用承諾書も必須になります。
営業所の要件確認を後回しにすると、せっかくそろえた書類がムダになることもあるので注意しましょう。
③ 警察署への事前連絡・予約を忘れない
千葉県内は電話予約制に移行
2025年9月から千葉県内の警察署(生活安全課)では、古物商許可申請の電話による事前予約制が導入されました。
市川・船橋・松戸などでも、いきなり窓口に行っても受け付けてもらえないため注意が必要です。
予約制の導入により、書類不備があると再予約になるため、事前チェックがより重要になりました。
日程を先に押さえる→逆算して準備
先に申請日を押さえることで、逆算して書類準備ができるようになります。
申請のゴールから逆算するこの方法は、個人・法人問わずおすすめです。
スムーズな申請は「準備8割」
古物商許可の申請でよくあるトラブルの多くは、欠格事由ではなく、ちょっとした準備不足によるものです。
事前チェック・書類管理・スケジュール調整──この3つを押さえておけば、申請手続きは驚くほどスムーズになります。
次章では、申請漏れを防ぐための「チェックリスト」と、安心してリユースビジネスを始めるための準備のポイントを整理します。
許可申請でつまずかないために|今すぐ始めたい準備リスト
「申請の壁」は早めの準備で越えられる
古物商許可の申請は、複雑そうに見えて、実は事前準備の質で結果が大きく変わります。
欠格事由を理解し、必要な書類をそろえ、スケジュールを整える──この流れさえ押さえていれば、多くの人がスムーズに許可を取得できます。
ここでは、これから申請を考える方向けに、すぐに使えるチェックリストを紹介します。
チェックリストで「抜け漏れゼロ」を目指す
申請前に確認すべき基本項目
- 欠格事由(前科、破産、成年後見など)に該当しないか確認
- 営業所として登録する場所が要件を満たしているか
- 本籍地から「身分証明書」を取得済みか
- 住民票、略歴書、誓約書など必要書類が揃っているか
- 役員全員分の書類が手元にあるか(法人の場合)
- 申請日(予約日)を確定しているか
このようなチェック項目を申請前に整理しておくだけで、「あの書類が足りなかった…」「予約が先延ばしに…」といったトラブルを防げます。
副業でも事業でも、準備の早さがカギ
小さな遅れが大きな差になる
古物商許可の申請では、「提出書類が完璧にそろっているか」が非常に重視されます。
とくに千葉県(市川・船橋・松戸など)では生活安全課の予約制が導入されたため、1つの不備が1〜2週間の再予約につながることも。
「いつかやろう」ではなく「今動く」
メルカリや中古家電の販売など、ECビジネスはスピード感が重要です。
「売る準備ができたのに、許可が出るまで待ちぼうけ」という状況を避けるためにも、早めの申請準備が賢明です。
困ったときは専門家に相談するのも一案
自分でできる部分と、プロに任せる部分を分ける
古物商許可の申請は個人でも可能ですが、時間と労力がかかるのも事実です。
「本業が忙しい」「書類の扱いが不安」という人は、行政書士などの専門家にサポートを依頼することで、申請の手間を大きく減らせます。
とくに法人申請や営業所の要件が複雑なケースでは、最初からプロと組むことで余計な手戻りを防げます。
「申請を終えてからがスタート」
古物商許可は、取得することがゴールではなく、ビジネスを広げていくためのスタート地点です。
メルカリ、副業、リユース、中古車、中古家電──どんな形であっても、信頼性のある取引を積み重ねることが事業の成長につながります。
しっかり準備して申請をクリアすれば、不安なくビジネスを始めることができます。
必要に応じて、行政書士に相談する選択肢も視野に入れながら、自分に合ったやり方で進めていきましょう。
📝 まとめ
- 欠格事由を早めに確認しておく
- 書類は「全員分・一式」をまとめて管理する
- 予約制のスケジュールを逆算して準備する
- チェックリストを活用して抜け漏れを防ぐ
- 不安なときは専門家の力も活用

