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「主たる営業所って何?」最初のつまずきを解消する入口
中古品販売を始めたい方から、よくこんな声が届きます。
「メルカリで少し売っていただけなのに、いざ古物商許可を取ろうとしたら“営業所を決めてください”と言われました…え、どういうこと?」
気持ちはよくわかります。
スマホ1台で何でもできる時代なのに、住所を示す必要があるなんて、少し意外ですよね。
しかも主たる営業所と従たる営業所という言葉まで出てくる。初心者の方にとって、このあたりは最初のハードルになりやすい部分です。
では、なぜ「営業所」を決めなければならないのでしょうか。
理由はとてもシンプルで、古物商許可は「責任をもって取引を管理できる拠点があるか」を見る制度だからです。
中古品売買では、盗品の流通防止や取引の記録保存が大切になります。そのため、どこで帳簿を管理し、どこに書類を保管し、どこに責任者がいるのか——この“拠点の明確化”が求められるのです。
とはいえ、ここで誤解が生まれやすいポイントがあります。
「自宅でもいいんですか?」
「在庫は別の倉庫に置きたいけれど、それも営業所になるの?」
「ネット販売だけでも住所が必要なの?」
こうした疑問は、市川・船橋・松戸周辺でもよく受ける相談です。
結論から言うと、自宅を主たる営業所にすることは十分可能です。
ただし、賃貸の場合はオーナーの承諾が必要だったり、郵便受けや表札の整理が必要だったりと、いくつか細かなチェックポイントがあります。
また、在庫だけを置く倉庫を運用するなら、そこは従たる営業所として扱われる可能性があります。
さらにもう一つ、最近増えている質問があります。
「メルカリでやるだけなら許可はいらないって聞きましたが…?」
確かに、個人の不要品を処分するだけなら許可は不要です。ただし、最初から仕入れて販売するのであれば、古物商許可は必須になります。
メルカリShopsで中古品を継続的に販売する場合、ショップ開設時に古物商許可証の提出が求められるため、許可が事実上必須となります。
ただし、通常のメルカリアカウントでも古物商許可があれば事業的な販売は可能であり、shops登録はプラットフォーム上の制度や管理面での利便性が高いという実務上の推奨です。事業形態や販売規模に応じて、どちらを利用するか検討すると良いでしょう。
こうした話をまとめると、「主たる営業所」は中古ビジネスの運転席のようなものです。
小さく始める場合でも、どこで舵取りをしていくかを決めることが、最初の一歩になります。
次章では、実際の相談でよくある“つまずきポイント”を取り上げながら、読者が迷いやすい場面を整理していきます。
現場で起きやすい“つまずき”を整理してみる
「営業所って言われても、正直どこを指しているのかわからない」
そんな悩みを抱えたまま申請準備を始めてしまうと、途中で足が止まりやすくなります。
ここでは、市川・船橋・松戸でよく寄せられる相談をもとに、初心者がつまずきやすい場面をやさしくほどいていきます。
まず多いのが、自宅を営業所にできるのか問題です。
結論としては、自宅を主たる営業所にすること自体は問題ありません。
むしろ、メルカリ副業や小規模リユース事業なら、ほとんどの方が自宅からスタートしています。
ただし「賃貸の契約書を見たら、事務所利用NGだった」「オーナーに承諾をもらい忘れた」といった声も多く、ここを見落とすと申請が止まる原因になります。
表札や郵便受けが適切に管理されているかどうかも、判断ポイントになります。
次に多いのが、倉庫・ガレージの扱いに関する誤解です。
中古家電を扱う人なら、在庫の量が増えると“置き場所問題”が出てきますよね。中古車ビジネスならなおさらです。
「在庫置き場として借りた倉庫がある。ここは営業所なの?」
こうした質問に対しては、ケースによって答えが分かれます。
在庫置き場として借りた倉庫が従たる営業所に該当するかは、単なる保管場所かどうかだけでなく、業務としての仕入・保管・販売行為の実態や管理権限の有無などを総合的に判断します。
したがって、すべての倉庫が自動的に従たる営業所になるとは限りません。
また最近増えているのが、ネット販売だから住所を出す必要がないと思っていたという勘違いです。
中古品のネット販売は、ECの存在感が強まる中で急速に広がっています。
メルカリやラクマ、Yahoo!フリマなど、販路は多岐にわたります。
古物商許可の申請にあたっては、営業所の所在地を警察に届出る必要がありますが、この情報は一般に公開されるものではありません。
一方、ネットショップ運営に関しては、特定商取引法に基づきウェブサイト上で住所や連絡先の表示が義務付けられており、またメルカリShopsなどの販売プラットフォームでも事業者情報の公開が求められます。したがって、ネット販売では法令により一定の所在地表示が必要になることを理解しておくことが重要です。
もう一つ、これから事業として展開したい方がよく迷うのが、メルカリshopsとの関係です。
「普通のメルカリアカウントで十分だと思っていた」という相談も多いのですが、継続して仕入れ→販売を行うのであれば、shopsの仕組みを利用した方が制度上も安定します。
事業者として扱われるため、表示ルールや責任の所在も明確になります。
これらの相談を振り返ると、つまずきポイントの共通項が見えてきます。
それは「営業所の扱いを曖昧にしたまま準備に入ってしまうこと」です。
住所、契約、在庫、管理のどれかが曖昧になっていると、あとから調整が入ったり、最悪もう一度準備をし直すことにもなりかねません。
次の章では、主たる営業所と従たる営業所の違いについて、制度の観点から整理していきます。
ここを理解しておくことで、自分のビジネスモデルに合った“拠点の置き方”が見えるようになります。
制度のポイント整理「主たる営業所」と「従たる営業所」はここが違う
ここまで読んでいただくと、「営業所って結局どういう扱いなんだろう?」という疑問が少し整理されてきたかもしれません。
この章では、制度の観点から主たる営業所と従たる営業所の違いを丁寧に区分していきます。古物商許可の申請では、この理解が土台になります。
まず押さえておきたいのが、主たる営業所は“管理の中心拠点”だということです。
ここには、帳簿や書類を保管し、取引内容を把握し、必要なときに警察からの照会に対応できる状態が求められます。
メルカリやECで活動する人からすると少し大げさに聞こえるかもしれませんが、中古品の売買という性質上、どうしても「管理」や「確認」の仕組みが欠かせません。
では、主たる営業所に必要な条件を整理してみます。
・管理責任者が明確に配置されていること
→名前だけの形式ではなく、実際に帳簿や取引を把握できる環境であること。
・書類や帳簿を保管できる場所であること
→パソコンだけあればOKではなく、必要に応じて書類を確認できる状態が必要。
・郵便物が受け取れること
→連絡手段としての実在性を確認されます。
・賃貸物件の場合は使用承諾が得られていること
→トラブル防止のため、オーナーの許可が必要な場合があります。
一方、従たる営業所は、主たる営業所に比べて“サブ拠点”という位置づけになります。
中小規模のリユース事業なら、従たる営業所を設けないケースも多いのですが、中古車・中古家電のように在庫が膨らみやすい業種では追加が必要になる場面もあります。
従たる営業所が必要になる典型的なケースは次のとおりです。
・在庫を置く倉庫を別に借りている場合
→仕入れ→保管→販売の流れが分散するなら“営業所扱い”になる可能性があります。
・複数の地域(例:市川と松戸)で販売拠点を持つ場合
→それぞれの拠点で取引が行われるなら届出が必要になります。
・中古車を並べる販売ヤードを別に設けている場合
→展示場だけでも営業所として扱われるケースがあります。
重要なのは、従たる営業所は“販売・保管・事務”のどれを担わせるのかによって扱いが変わるという点です。
ただし、どんな形であれ、主たる営業所が全体の司令塔として機能している必要があります。
また、誤解されがちなのが“ネット販売だけなら営業所はいらない”という考え方です。
中古品のネット販売は、便利で始めやすい反面、匿名性が高く誤解も多い領域です。しかし、オンライン販売でも古物商許可の枠組みは変わりません。
ショップの住所表示が必要になり、管理責任の所在も明確でなければなりません。これはメルカリshopsでも共通で、事業として取り組む以上、所在地と連絡先は必須です。
こうして見ていくと、「主たる営業所=管理の中心」「従たる営業所=拠点の追加」という構造が見えやすくなります。
次の章では、読者が迷わず決められるよう、営業所決定のための3つの判断基準を紹介していきます。
今日からできる判断ステップ
3つの基準で迷わず営業所を決める
ここまで読むと、「主たる営業所は大事」という感覚はつかめてきたと思います。
とはいえ、実際にどこを営業所にするか考え始めると、
「自宅でもいいのか」「倉庫はどう扱われるのか」「ネット販売だけでも住所って必要なの?」
という迷いが次々と出てくるものです。
そこで、この章では読んだ日から使える“3つの判断基準”を紹介します。
基準が明確になると、申請準備がぐっと進みやすくなります。
基準① 管理責任者が“実際に動ける場所”かどうか
主たる営業所は、古物商業務の中心となる場所です。
大げさに言えば、ここが指揮室の役割を果たします。
だからこそ「責任者がちゃんと管理できる環境か」という視点が重要です。
チェックしたいポイントは次のとおりです。
- 帳簿をつける机やスペースがある
- 書類を保管する棚や引き出しがある
- パソコン・スマホで取引履歴を確認できる
- 必要なときに責任者がすぐ動ける
これらが満たされていれば、自宅でも十分に主たる営業所は成立します。
一方、倉庫のみを主たる営業所にするのは難しいケースが多めです。
在庫管理には便利でも、帳簿や書類管理には向かない場面が多いからです。
基準② 仕入れ→保管→販売の“動線”が整っているか
中古ビジネスにおいて、商品がどう動くかはとても重要な要素です。
まずは仕入れ→保管→販売(発送)の流れを紙に書き出してみてください。
すると、自然と「どこが中心拠点なのか」が浮かび上がります。
例を挙げると、
メルカリ中心のケース
- 仕入れ
ネットやリサイクル店 - 保管
自宅の一室 - 発送
自宅
→ 主たる営業所=自宅で問題なし
中古家電リユースのケース
- 仕入れ
市川・船橋周辺の業者 - 保管
別の倉庫 - 発送
倉庫
→ 倉庫を従たる営業所にする可能性あり
中古車販売のケース
- 仕入れ
オークション - 保管
展示場 - 事務
自宅
→ 主たる営業所=事務スペース、従たる営業所=展示場
動線を整理すると、自分にとっての“主役となる場所”が見えやすくなります。
基準③ 契約内容・設備・使用承諾などが整えられるか
最後に、物件周りの確認は必須ポイントです。
申請の可否に直結するため、ここは丁寧に押さえたいところです。
確認すべき点は以下です。
- 賃貸契約で事務所利用が認められているか
(NGならオーナー承諾書が必要) - 郵便物が受け取れるか
- 表札や名称を適切に表示できるか
- 倉庫を使う場合、鍵の管理が明確になっているか
古物商許可では“実在性”のチェックが非常に重視されます。
そのため、書類の置き場所・在庫の置き場所・責任者の所在がきちんと説明できるかどうかがポイントになります。
営業所選定のための簡易チェックリスト
迷ったときは次の6つを確認してみてください。
- 帳簿管理ができる環境がある
- 書類の保管場所が確保されている
- 郵便物が届く
- 賃貸なら使用承諾が取れる
- 在庫の場所が明確
- 商品の動線が一本の線でつながっている
すべてチェックが入れば、主たる営業所の候補はほぼ決まりです。
次の章では、初めて古物商許可を取得する方に向けて、ビジネスを続けやすくするためのまとめと実践ステップをお伝えします。
最初の一歩を誤らないために
ここまで「主たる営業所」と「従たる営業所」の考え方を見てきましたが、最後にもう一度、古物ビジネスを始める人にとって大切なポイントを整理しておきます。
中古品の販売は、メルカリやECサイトの登場によって一気に身近な存在になりました。
市川・船橋・松戸のような地域でも、副業から本格的な小規模事業へとステップアップする人が増えています。
そんな中で、最初の“住所選び”を誤ると後の運用に負担が出てしまうことがあります。
たとえば、
「とりあえず自宅で申請したけれど、あとから倉庫を借りたら従たる営業所の追加が必要になった」
「ネット販売だけだから住所は気にしなくていいと思っていたが、表示ルールで困った」
「賃貸オーナーの承諾が取れず、申請が止まってしまった」
といったケースは珍しくありません。
裏を返せば、最初に営業所の仕組みだけ押さえておけば、申請も運用も格段に楽になるということでもあります。
特に覚えておきたいのは次の3点です。
主たる営業所は“ビジネスの司令塔”
帳簿・書類・責任者の所在、すべての中心になる場所です。
在庫の置き場所よりも、「管理ができる環境かどうか」が最優先になります。
自宅で問題ない人も多く、決して特別なオフィスである必要はありません。
従たる営業所は“必要になったときに追加するもの”
中古家電や中古車のように商品が大きく、保管場所が増える場合に必要になります。
最初から複数拠点を構える必要はなく、ビジネスが広がってきた段階で検討すれば十分です。
ネット販売でも住所は必要(メルカリshopsの登録にも影響)
オンライン販売だからといって住所表示を避けることはできません。
事業として取り組むなら、メルカリshopsの登録も視野に入れておくと安心です。
shopsでは、事業者としての所在地表示が求められ、古物商許可との相性も良くなります。
こうして整理すると、古物商許可は「難しそう」と感じる部分こそあるものの、実際はひとつひとつのルールに理由があります。
中古品の安全な流通を守るため、そして買う側が安心できるための仕組みです。
ここまで読んでいただいた方なら、
「自分の場合はここを営業所にすれば良さそうだ」
と具体的にイメージできるようになっているはずです。
もし不安が残る場合は、申請前に一度整理しておくと後の手戻りを防げます。
また、必要であれば行政書士に相談する選択肢もあります。専門家に頼る部分は最低限で十分です。

