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「古物商許可を取れば全国OK?」—よくある誤解と現実
「古物商の許可を取れば、全国どこでも自由に売れるんですよね?」
そんな質問を受けることがよくあります。たしかに、ネット販売やメルカリを使っていれば、地域の境界なんて関係なさそうに思えますよね。
けれど、古物営業法の仕組みは少し違います。
許可は“全国共通”ではなく“営業所単位”
古物商許可は、都道府県ごとに管轄する警察署が発行する「営業所単位の許可」です。
たとえば、市川市で許可を取った場合、その「営業所」を拠点に古物を仕入れたり販売したりすることができます。
ただし、船橋や松戸にも実際の店舗や拠点を構えるなら、それぞれの地域で新たに申請が必要になる場合があります。
つまり、全国どこでも自由に動ける“共通免許”ではなく、営業所ごとに管理されている仕組みなのです。
ネット販売は特別な位置づけ
「でも、メルカリやネットショップで売るだけなら、どこで売っても同じでしょ?」
そう思う方も多いでしょう。実際、ネット販売の場合は少し扱いが異なります。
ネット上の販売は、物理的に商品を扱う場所(=営業所)を基準に管理されます。
つまり、ネット販売をしていても「どの都道府県の営業所を拠点にしているか」が重要なんです。
市川の自宅を営業所として申請すれば、その住所が「あなたの古物商の本拠地」という扱いになります。
全国のお客さんに商品を送っても問題ありませんが、「営業できる場所」はあくまでその拠点を中心とする考え方なんですね。
「営業所なし」は認められない
もう一つ注意したいのは、「営業所なしでは申請できない」という点です。
カフェやコワーキングスペースなどを転々と使っている人もいますが、警察署が確認に行ける“固定した場所”が必要になります。
営業所の確認は、申請時に警察官が実地調査を行うこともあるため、「形だけの住所」では通らないことも。
最近は自宅を営業所にする申請も増えていますが、管理スペースが明確であることが前提です。
「全国で営業」は段階を踏めば可能
もちろん、将来的に全国に拠点を広げることも可能です。
その場合は、拠点ごとに申請を行い、各地の警察署から許可を得ていく流れになります。
規模が小さいうちはまず「一つの営業所」をしっかり整え、ネット販売などで販売範囲を広げるのが現実的です。
💡まとめ
古物商許可は「全国どこでも自由に営業できる免許」ではなく、「営業所単位で許可を受ける制度」。
ネット販売でも“拠点”が重要であり、自宅申請も可能。
まずは自分の所在地で確実に許可を取り、そこから少しずつ販売範囲を広げていくのが安全なステップです。
古物商許可の基礎知識と「営業所」概念を整理しよう
古物商の許可と聞くと、「難しい法律が関係していそう」と感じる方も多いかもしれません。
ですが、仕組みを順番に見ていけば、それほど複雑ではありません。
ここでは、許可の“土台”となる「営業所」という考え方を中心に整理してみましょう。
「営業所」とは、取引の中心となる場所
古物営業法でいう「営業所」とは、古物を仕入れたり、保管したり、販売したりする拠点のことです。
実際に商品を管理するスペースや事務机などがある場所が該当します。
たとえば、市川市の自宅で中古家電を仕入れてメルカリに出品する場合、あなたの自宅が「営業所」となります。
営業所の住所は、警察署に登録され、許可証にも記載されます。
ここでポイントなのは、「人が常に出入りできる、固定した場所」であること。
レンタルオフィスやシェアスペースを使う場合は、契約形態や管理状況によっては営業所として認められないこともあります。
この点は、申請前に警察署へ確認しておくと安心です。
自宅でも申請できる? 市川・松戸エリアの実例
最近は副業としてメルカリ販売を始めたい方が多く、自宅を営業所にするケースが増えています。
市川や松戸でも、「一軒家の一室」「マンションの一角」など、スペースを区切って申請する事例が多く見られます。
ただし、リビング兼用や物置と共用の場合は、「どこまでが古物営業の範囲か」を明確にする必要があります。
書類上だけでなく、警察官の実地確認がある場合もあるため、整理整頓された状態を意識しておきましょう。
また、中古車やバイクの販売など、屋外での保管が必要な場合は「保管場所」も申請対象になります。
たとえば、船橋で中古車販売を行うなら、展示場や車庫スペースも確認される形です。
出張買取やネット販売との関係
最近は出張買取やネット販売など、店舗を持たない営業形態も増えています。
「出張買取しかしないから営業所はいらない」と思いがちですが、あくまで“事務処理や管理を行う拠点”が必要です。
つまり、古物営業の「本拠地」として登録できる場所がないと申請できません。
ネット販売の場合も同じで、サーバーやサイトの場所ではなく、現実に管理を行う所在地が営業所になります。
メルカリを中心にした副業でも、結局は「どこで仕入れて、どこで保管して、どこから送るのか」が問われるわけです。
小さく始めるなら「自宅営業所」が現実的
初めての方には、まず自宅を営業所として申請する方法がおすすめです。
副業として始めるなら、無理に店舗を借りるよりも現実的ですし、申請時のハードルも低くなります。
申請に必要な書類も、営業所の賃貸契約書や登記簿謄本など、比較的そろえやすいものが中心です。
💡まとめ
古物商許可の“肝”は、「営業所」という拠点をしっかり定めること。
自宅でも可能ですが、管理スペースや取引内容を明確にしておくことが大切です。
営業形態がネット中心でも、所在地をベースにした申請が求められる――この仕組みを理解すれば、次のステップがぐっと進めやすくなります。
全国で販売したい人が知っておくべき3つのチェックポイント
古物商許可を取って慣れてくると、「いずれは全国の人に販売したい」「複数の地域で活動したい」と考える方も出てきます。
ネット時代に地域を越えて取引するのは自然な流れですよね。
ただし、古物営業法にはいくつかのルールがあるため、ここを理解しておかないと「知らないうちに違反だった」ということにもなりかねません。
そこで今回は、全国販売を目指す人が必ず押さえておきたい3つのポイントを整理します。
① どの場所に「営業所」を設けるか
まず確認したいのが、拠点となる営業所の場所です。
古物商許可は“営業所単位”の許可制なので、営業所のない都道府県では基本的に営業できません。
たとえば、市川市で許可を取っていても、札幌や大阪に新しく営業所を設けるなら、その都道府県での許可が必要になります。
つまり、「全国展開=各地の警察署に申請が必要」と考えるのが正解です。
逆に言えば、営業所が1つでも、ネットを通じて全国に販売することは可能。
大事なのは「どこを拠点にして営業しているか」をはっきりさせておくことです。
② 「出張」扱いと「営業」扱いの境界線
次に混同しやすいのが、「出張買取」と「営業活動」の線引きです。
たとえば、市川の自宅を営業所にして、船橋や松戸へ買取に行く場合――これは「出張」として扱われ、追加の許可は不要です。
しかし、もし松戸に倉庫を借りて商品の保管・販売を行うなら、それは「営業所を設けた」と見なされ、新たな申請が必要になります。
この違いを理解していないと、「出張のつもりが実は営業扱い」になってしまうこともあるため注意が必要です。
移動型で活動する人ほど、この境界を意識しましょう。
③ URL届出制度の導入(2023年改正対応)
2023年の法改正で、ネット販売を行う古物商には「URL届出制度」が導入されました。
これは、メルカリShopsやBASEなどのオンラインショップを運営する場合、そのURLを警察に届け出る制度です。
目的は、取引の透明化と不正防止。
つまり「どんなサイトで古物を販売しているか」を明確にすることで、利用者も安心して取引できるようになっています。
届出は営業所のある都道府県の警察署で行い、追加費用は不要です。
もし複数のネットショップを運営するなら、それぞれのURLをまとめて届け出る必要があります。
チェックを怠らなければ全国展開も安心
全国を視野に入れると、許可や届出の手間が増えるのは事実です。
でも、ルールを押さえて順に整えていけば、着実に広げていけます。
「まずは一拠点」「出張は範囲を明確に」「ネット販売はURL届出」――この3つを意識すれば、安心してリユースビジネスを拡大できます。
市川や船橋でも、こうした段階を踏んで規模を広げている事業者が少なくありません。
焦らず、仕組みを理解しながら前に進むことが成功の近道です。
💡まとめ
全国で販売したいなら、①営業所の場所、②出張と営業の違い、③URL届出制度――この3点を確認。
法律の枠組みを味方につければ、個人でも安心して全国展開が可能です。
次章では、そんな古物商許可が“環境ビジネス”として注目されている理由を見ていきましょう。
環境ビジネスとしての古物商 — 円安時代に伸びるリユース市場
古物商というと「中古品の売買業」と思われがちですが、いまやそれだけではありません。
円安や物価高、そして環境意識の高まりを背景に、古物商は“サステナブルなビジネス”としても注目されています。
いわば「モノを捨てずに、もう一度活かす」仕組みを支える存在。
メルカリ副業から始めた人が本格的な事業に育てていくケースも、全国で増えています。
円安・物価高が追い風に
2025年現在、円安や資材高の影響で新品の価格が上がっています。
家電や家具、衣料品まで「できるだけ安く、でも質のいいものを」という需要が強まり、中古市場は大きく拡大しています。
実際、市川や松戸のリユースショップでは、生活家電やアウトドア用品の売れ行きが好調。
「新品より中古で十分」という考えが、もはや特別なものではなくなっています。
さらに、海外でも“Japan Quality”の中古品人気は根強く、円安によって輸出ビジネスとしての魅力も増しています。
古物商許可を持っていれば、こうした取引を正規ルートで行える点も大きな強みです。
「捨てずに活かす」サステナブル消費への転換
リユースは、環境負荷を減らすだけでなく、社会の価値観を変えつつあります。
「使い捨て」から「循環型」へ――この流れは確実に広がっています。
市川や船橋では、学生や主婦が中心となってフリマイベントを開催したり、地域の古着リユースが活発化したりと、地元発の取り組みも進んでいます。
個人が古物商許可を取ってネット販売を始めることは、こうした“循環の担い手”になることでもあります。
一見小さな行動でも、社会的には大きな意味を持つのです。
中古家電・中古車・ファッション分野の成長例
リユースといっても分野はさまざまです。
特に伸びているのが「中古家電」「中古車」「ファッション」。
中古家電では、初期コストを抑えたい単身者層に人気があり、動作保証を付ける事業者も増えています。
中古車市場は、半導体不足の影響で新車の納期が長期化していることから、国内需要が拡大。
ファッション分野では、ブランドリユースショップがSNSと連動しながら、Z世代の支持を集めています。
こうした流れを見ると、古物商許可は「節約ビジネス」ではなく、「時代の潮流に沿った成長市場のパスポート」と言えるでしょう。
「環境」と「経済」をつなぐ免許
古物商許可を取ることは、単に“中古品を売るための手続き”ではありません。
モノの命を延ばし、資源を循環させるという意味で、環境ビジネスの入口でもあります。
行政書士として申請のサポートをしていると、「副業のつもりが社会貢献にもつながるなんて思わなかった」と話す方が多いです。
小さな商売が、持続可能な社会の一部になる。
それが、今の古物商の面白さです。
💡まとめ
古物商は、円安や環境意識の高まりを追い風に成長を続ける“サステナブルビジネス”。
リユースは節約だけでなく、社会を支える仕組みでもあります。
次章では、全国で販売を目指すあなたが、実際にどんな手順で進めればよいかを3ステップで整理します。
全国で売る前に確認すべき3つの行動ステップ
ここまで、古物商許可の仕組みや営業所の考え方、リユース市場の広がりを見てきました。
「じゃあ、実際に全国で販売してみたい」と思った方もいるかもしれません。
とはいえ、焦って動くと「どこから手をつければいいの?」と迷ってしまうもの。
最後に、全国販売を視野に入れる前に押さえておきたい3つの行動ステップを整理しておきましょう。
ステップ1 まずは所在地の警察署で許可を取る
出発点はここです。
古物商許可は全国共通の免許ではなく、あくまで「営業所単位」で発行されます。
そのため、まずは自分が活動する所在地の警察署に申請することが必要です。
市川や船橋、松戸などでも、申請窓口はそれぞれの「生活安全課」。
千葉県内の警察署では電話による事前予約が必須です。
申請書の作成や添付書類の準備はやや手間がかかりますが、一度通れば長く使える許可です。
営業所の整備や本人確認書類など、最初にきちんとそろえておくことが後の安心につながります。
ステップ2 オンライン販売を行うならURL届出を忘れずに
ネットで古物を販売する場合は、2023年から導入された「URL届出制度」に対応する必要があります。
メルカリShopsやBASE、Yahoo!オークションなど、自分の販売ページを警察に届け出る仕組みです。
これは、消費者保護と不正防止を目的としたもの。
届出自体は難しくありませんが、申請後にサイトURLを追加する際も、再度届け出る必要がある点に注意しましょう。
特に副業で複数サイトを運営する場合は、URLを整理して一括で申請するのがおすすめです。
「どんなサイトで販売しているか」を明確にしておくことで、トラブル防止にもつながります。
ステップ3 取扱品目と販売形態を明確化する
最後のステップは、扱う品目と販売方法をはっきりさせること。
古物商許可には、時計・宝飾品、衣類、機械工具、家電、自動車など13の区分があります。
たとえば、中古家電を扱うつもりで申請したのに、途中で中古車販売に事業を広げたい場合――
品目を追加する手続きが必要になることもあります。
また、ネット販売・出張買取・店舗販売など、どんな形でビジネスを行うかを事前に整理しておくことも大切です。
これを曖昧にしたままだと、後から変更申請が増えてしまい、手続きが煩雑になります。
最初に方向性を定めておくことが、長く続けるための秘訣です。
着実に整えれば、全国販売は夢ではない
「全国で販売」と聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際には一歩ずつ整えていけば誰でも可能です。
市川や松戸でも、最初は自宅営業所から始めて、後に複数拠点へと広げていった事業者が少なくありません。
大切なのはスピードよりも確実性。
制度を理解し、正しい順序で準備を進めることが、信頼される古物商への第一歩です。
💡まとめ
全国販売を目指す前に、①所在地での許可取得、②URL届出、③取扱品目と形態の明確化――この3ステップを確認。一つひとつを丁寧に進めれば、あなたのリユースビジネスは確実に育っていきます。
行政書士など専門家に相談するのも一案。安心して長く続けられる体制を整えてから、次のステージへ進みましょう。

