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「え、メルカリShopsって許可いるの?」──ふつうの出品とのちがい
ふつうのメルカリとShops、なにがちがうの?
「不要になった洋服を売ってみようかな」
「スマホを買い替えたから、古い方を売ろう」
こうしたときに気軽に使えるのが、ふつうのメルカリです。
あくまで「個人が自分の持ち物を処分する」という位置づけなので、原則として許可は不要です。
一方で、メルカリShopsはフリマアプリではなく、「ネット上の店舗」として出店する仕組みです。
利用した瞬間から、あなたは“事業者”として扱われるのが基本になります。
「ちょっと売るだけ」のつもりでも事業者扱いになる
メルカリShopsでは「仕入れて売る」「継続的に売る」ケースが多く、中古品を扱えば古物営業に該当する可能性が非常に高くなります。
たとえ副業でも、法的には「事業としての取引」とみなされるのがポイントです。
⚠️ 同じ「メルカリ」でも、ふつうの出品とShopsでは法律上の立場が大きくちがう
「個人だから大丈夫」「ちょっとだけだから」──こうした思い込みから、気づかないうちに無許可営業になってしまう人も少なくありません。
よくある“古物”の品目とは
中古家電・スマホ・ブランド服などは、特に「古物」として扱われやすい代表例です。
一度誰かの手に渡ったものを再び販売する場合、それが営利目的であれば古物営業法上の「古物商」に当たります。
これは全国共通のルールで、たとえば市川・船橋・松戸といった地域でも、Shopsを始める前に警察署へ申請するケースが増えています。
中古品=古物になるタイミング
- 一度でも人の手に渡った商品
- 継続的な販売を行う
- 利益を得ることを目的としている
この3つがそろうと、古物商許可が必要になる可能性が高いと考えておくと安心です。
メルカリShopsは「お店」扱い。だからこそ許可が必要
メルカリShopsを利用する時点で、購入者からすれば「個人」ではなく「お店」から買っている感覚になります。
そのため、法的にも事業者として見なされるのです。
許可を取らずに出店してしまうと、
- 運営からの出店停止
- 警察からの指導
- 罰則の対象になる可能性
といったリスクも。
「知らなかった」では済まないケースもあるため、メルカリShopsで中古品を扱う=古物商許可が必要という認識を持つことが、安心してビジネスを始める第一歩になります。
次のステップへ
次の章では、なぜこの「古物商許可」が必要になるのか──制度の背景としくみを、やさしく解説していきます。
古物商許可が必要になる理由を、やさしく整理する
中古品=古物。メルカリShopsでは“事業”になる
「中古品って、そんなに大げさな話なの?」
多くの人が最初に驚くポイントです。
法律上、古物とは「一度でも人の手に渡った物」のこと。
しかも、メルカリShopsのように「継続して販売する」場合は、“事業”としての扱いになります。
この「個人」と「事業者」の線引きが、ふつうのメルカリとShopsの決定的な違いです。
たとえば中古家電やスマホ、ブランドバッグなどはまさに典型例。
仕入れて販売する形をとれば、それだけで古物営業法の対象になる可能性があります。
「ちょっとした副業」でも、法律上はしっかりと古物商許可が必要になるんです。
国が古物を“許可制”にしている理由
なぜ中古品ビジネスだけが特別なのか
古物営業法の目的は、盗品の流通防止と取引の透明性確保です。
中古品の流通は便利な一方、盗難品がまぎれやすい性質があります。
- 誰から仕入れたか
- いつ売ったか
- どう流通したか
これをきちんと記録・管理できるようにするため、古物商には許可が必要とされています。
インターネット販売にも同じルールが適用される
「ネット販売だから関係ない」と思う人もいますが、法律上は実店舗と同じ扱いです。
メルカリShopsも例外ではなく、オンライン上の“店舗”として許可の対象になります。
ちょっとした副業でも対象になるケース
副業や個人事業レベルであっても、以下のようなケースはすべて古物商許可が必要になる可能性があります。
許可が必要になる例
- フリマやオークションで仕入れた中古家電を継続的に販売
- まとめ買いしたブランド服をメルカリShopsで出品
- スマホやPCを買い取り→再販
特にShopsでは「販売実績」や「出品数」がシステム上も見えるため、警察側も事業性を判断しやすくなっています。
つまり、Shopsで販売=事業者扱い=許可が必要と考えておいたほうが安全です。
地域によって運用に差もある
許可の申請先は、全国共通で「営業所を管轄する警察署(生活安全課)」です。
ただし、市川・船橋・松戸など地域ごとに窓口対応や必要資料に細かな違いがあることもあります。
「ネットだけの販売だから大丈夫」と思い込んでいると、地域の警察署で「それは許可が必要です」と指摘されるケースもあります。
Shopsを使うなら許可が“前提”
- ふつうのメルカリ → 個人の不要品 → 許可不要
- メルカリShops → 事業者扱い → 古物商許可が必要
この違いがすべての出発点です。
事業規模の大小にかかわらず、「Shopsで中古品を扱う=古物商許可が前提」という認識を持っておきましょう。
次の章では、実際に許可を取るときの流れと必要な書類について、初心者でも分かるように解説していきます。
申請の流れは意外とシンプル。古物商許可の取り方
申請先は「警察署の生活安全課」
古物商許可の申請先は、全国共通で営業所を管轄する警察署です。
実際に販売するのがネット上(メルカリShops)であっても、申請はリアルの住所地に対して行います。
たとえば市川市の自宅で運営する場合は、市川警察署の生活安全課が窓口になります。
船橋なら船橋警察署、松戸なら松戸警察署です。
販売プラットフォームがネットだからといって、申請先が変わることはありません。
申請の基本ステップ
1. 申請書類の準備
必要書類はそれほど多くありません。代表的なものは以下のとおりです。
- 古物商許可申請書
- 略歴書(過去の職歴等)
- 誓約書
- 住民票
- 身分証明書(本籍地記載)
- 営業所の使用権限を証明する書類(賃貸借契約書など)
申請者が法人の場合は、登記事項証明書や定款の写しなどが加わります。
2. 警察署に申請書を提出
申請は、基本的に窓口へ直接提出します。
千葉県内の警察署では2025年9月1日より、電話による事前予約が必須となりました。
3. 審査と許可証の交付
審査には通常、40日程度(土日祝日を含まない)ほどかかります。
問題がなければ、許可証が交付されます。
交付後は古物台帳の記録義務や標識の掲示など、事業者としての運用がスタートします。
「営業所」の考え方に注意
よくある質問のひとつが「自宅でも申請できるの?」という点です。
答えは 可能 です。ただし、
- きちんと住所が明示できること
- 保管スペースとして適切であること
- 同居家族の了承があること(賃貸の場合はオーナー承諾)
といった条件を満たす必要があります。
ネット販売の場合も、営業所=活動拠点と考えられるため、申請時には住所と販売先情報が一致しているか確認されます。
よくある“つまずき”ポイント
略歴書の書き方がわからない
略歴書には、過去10年分の職歴や住所を記載します。
行政書士の現場では、この書き方で時間がかかる人がとても多いです。
特に転居が多い人は事前に整理しておくとスムーズです。
営業所の書類が足りない
賃貸物件の場合、契約書だけでは不十分なケースがあります。
「営業利用可」であることの証明が必要な場合もあるため、事前確認が大切です。
申請先を間違える
「メルカリShopsだからメルカリ本社(本店)所在地に出す」と勘違いしてしまうケースもありますが、申請先は営業所の住所を管轄する警察署です。
申請後も守るべき義務がある
古物商許可は「取って終わり」ではありません。
許可を受けたら、以下のようなルールを守る必要があります。
- 標識(プレート)の掲示
- 古物台帳への記録
- 警察からの照会への対応
これらは、盗品流通防止の観点から非常に重要です。
形式的な義務ではなく、事業者としての信頼性を支える基盤になります。
初心者でも申請できる
- ネット販売でも、申請先は営業所のある地域の警察署
- 自宅でも条件を満たせば申請可能
- 書類をそろえて提出→審査→交付まで約2〜4週間
思っているより手続きはシンプルです。
早めに準備を進めておくと、出店スケジュールに余裕を持てます。
Shops出店者がやりがちな“つまずき”とその対策
申請して終わり、ではない
古物商許可を取ったあとに、意外と多いのが「運用面でのつまずき」です。
とくにメルカリShopsは、個人でも店舗のように見える仕組みのため、申請内容と実際の出店情報の“ズレ”がトラブルにつながることがあります。
よくあるのが、住所の不一致や名義のちがい、品目選定の誤りなど。
ここをきちんと押さえておくと、あとから慌てることなく安心して販売を続けられます。
住所と許可証の不一致でトラブルに
出店時の情報と申請内容は一致させる
出店時に登録する住所・事業者名・代表者名は、警察に申請した許可証と完全に一致している必要があります。
よくある失敗例がこちらです👇
- 引っ越したが、許可証の住所変更を忘れていた
- 代表者の名義とShopsアカウントの名義が違う
- 倉庫住所と出店住所が異なっていた
こうしたケースは、運営側からの出店停止や、警察への届け出漏れと見なされることもあります。
引越し・名義変更時は必ず届け出を
- 営業所の移転 → 「変更届」の提出が必要
- 代表者変更 → 「名義変更」の届出
- 倉庫を追加 → 「従たる営業所」の追加申請
これらの届出を忘れると、許可の効力を失うリスクもあるため注意が必要です。
品目の誤解で違反になるケースも
「これは新品だから大丈夫」と思っていませんか?
「新品」と思っていたものでも、一度でも他人の手に渡った時点で古物扱いになることがあります。
例えば…
- 未使用のスマホを友人から安く買って販売 → 古物
- 展示品やアウトレット品を仕入れて販売 → 古物
- フリマで仕入れた服を販売 → 古物
つまり「新品っぽい」「未使用」という感覚ではなく、流通経路が重要です。
品目や仕入れ先を明確にしておくことが、無用なトラブルを防ぐカギになります。
標識・帳簿・本人確認も忘れずに
運用ルールは「形式」ではなく「信頼性」を守る仕組み
古物商許可を受けた事業者には、運用上の義務があります。たとえば👇
- 営業所に標識(プレート)を掲示
- 古物台帳で取引の記録を残す
- 商品の仕入れ先・販売先の本人確認を行う
これらは「なんとなく形式的」と思われがちですが、許可の信用を守るための重要な要素です。
とくにメルカリShopsのようなEC販売では、帳簿や記録の正確さが事業の信頼性にも直結します。
サステナブルなリユースは“強み”になる
リユース・リサイクル市場は今、環境意識の高まりや円安の影響もあって、急速に拡大しています。
適正な許可を取り、透明性を保ちながら中古品を販売することは、単なる「義務」ではなくブランディングの武器にもなります。
- 「ちゃんと許可を取っている安心なお店」
- 「地元・市川発のサステナブルなECショップ」
こうしたアピールは、購入者の信頼につながり、競合との差別化にも効果的です。
ールを守ることが信頼につながる
- 住所・名義・情報のズレは必ず修正する
- 品目の取り扱い基準を理解する
- 標識・台帳・本人確認など運用義務を軽視しない
- サステナブル意識はブランディングになる
許可を取ることだけがゴールではありません。
ルールを守って信頼を積み上げることが、長く続けるための近道です。

