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なぜ「古物商許可」が必要なの?メルカリ副業やリユース事業の現実
「メルカリでちょっと不用品を売ってみたら、意外とすぐに売れた!」
そんな経験をしたことがある方、多いのではないでしょうか。気がつくと「これを副業にできるかも」「中古家電を仕入れて転売すれば儲かりそう」「中古車も扱えたら夢が広がる」……と考え始めるのが自然な流れです。
ただし、この「中古品を仕入れて売る」という行為、実は法律上「古物営業」にあたる可能性が高いのです。つまり、きちんと古物商許可を取らなければならないビジネスなのです。
もし無許可で営業した場合、どうなるのでしょうか。
- 罰則の対象(無許可営業は刑事罰の対象になり、最悪の場合は逮捕や罰金)
- プラットフォーム利用停止(メルカリなどのフリマアプリは規約違反でアカウント凍結のリスク)
- 信頼を失う(お客様や取引先から「この人、大丈夫?」と思われてしまう)
実際に「副業のつもりだったのに、気づいたら古物営業に該当していた」という相談は少なくありません。特に最近はリユースやサステナブルへの関心が高まり、中古品市場が拡大しているため、規制もより厳しく見られがちです。
裏を返せば、古物商許可をきちんと取っておけば、安心してビジネスを広げていけます。円安の影響で中古市場は海外需要も旺盛ですし、環境意識の高まりから「リユース=時代に合ったビジネス」と言えます。
つまり、古物商許可は「ただの形式的な手続き」ではなく、
これからリユース・ECビジネスを続けていくための土台づくりなのです。
古物商許可の取得に必要な書類一覧と準備の流れ
「古物商許可を取ろう!」と決めたら、まずは必要書類をそろえることから始まります。ここでつまずく人が多いのですが、実は流れを知っておけばそこまで難しくありません。
個人で申請する場合に必要な書類
個人事業主や副業で始めたい方は、次のような書類を警察署に提出する必要があります。
- 住民票(本籍地記載、マイナンバーの記載なし)
- 身分証明書(本籍地の市区町村役場で取得、「禁治産・破産」などの記録がない証明)
- 略歴書(過去5年間の職歴や住所を記入)
- 誓約書(法令順守の意思を示す書類)
- 営業所の使用権限を示す書類(賃貸借契約書のコピーなど)
「略歴書?誓約書?なにそれ?」と思うかもしれませんが、実際はA4用紙にフォーマットどおり記入するだけ。焦る必要はありません。
法人で申請する場合に必要な書類
会社として中古品ビジネスを始める場合は、個人とは少し違った書類が必要になります。
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 定款の写し(事業目的に「古物営業」が含まれていることが必須)
- 役員全員分の住民票・身分証明書
- 営業所関連書類(賃貸借契約書や使用承諾書など)
法人の場合、役員全員の身分証明書が必要というのがポイント。役員が多い会社だと、ここで時間がかかるので注意が必要です。
添付を忘れやすい注意書類
実際の現場でよくあるのが「書類を出したつもりでも、これが抜けていた」というケース。
- 駐車場契約書(中古車販売など車両を扱う場合)
- 店舗写真や間取り図(営業所の実態を証明するために求められることも)
- 古物台帳(サンプル)(帳簿をきちんと備える意思を見せる)
これらを忘れて再提出になると、申請が1か月以上ずれ込むこともあります。
書類準備から申請までの流れ
- 必要書類をリストアップして、役所や法務局で取得
- 申請書や略歴書に記入
- 営業所の写真や契約書などを添付
- 管轄の警察署の生活安全課に提出
- 申請から40日程度で許可証が交付
「思ったよりやることが多いな…」と思うかもしれません。けれど、一度流れを押さえておけば、意外とスムーズに進みます。
初心者がつまずく「記入方法」のポイント解説
「必要書類はそろえたけど、申請書の書き方がよくわからない…」
古物商許可の申請で最も多い相談の一つが、この記入方法の不安です。警察署の窓口で「ここは書き直してください」と言われ、再提出になるケースも珍しくありません。ここでは特に初心者がつまずきやすいポイントを解説します。
住所・氏名欄は「住民票と完全一致」が基本
申請書に書く氏名・住所は、必ず住民票と同じ表記で書く必要があります。
- 例:「市川市八幡1丁目1番1号」なのに「市川市八幡1-1-1」と書いてしまう
- 例:ミドルネームや旧字体を省略してしまう
ほんの小さな違いでも差し戻しになることがあります。書き写すときは役所の書類を手元に置いて、そのまま転記するのが鉄則です。
略歴書は「空白なし・きちんと年号をそろえる」
略歴書には過去5年の住所・職歴を記入します。
- 住所は引っ越しのたびに正確に記載
- 職歴も「アルバイト」や「主婦」といった期間があれば空白にせず書く
よくあるのが「空白期間をそのままにしたために補足説明を求められる」ケース。細かいことですが、空欄を作らないのが安心です。
営業所・管理者の記載ポイント
古物営業では「営業所」と「管理者」を明確に記入する必要があります。
- 営業所:実際に商品を保管・販売する場所。自宅兼用も可能だが、賃貸の場合はオーナーの承諾書が必要なことも
- 管理者:その営業所を実質的に管理する人。個人なら本人、法人なら代表者や責任者を指定
「形だけの営業所」や「名義だけの管理者」は認められません。実態を伴うことが前提です。
中古家電・中古車ビジネス特有の注意点
扱う商品によって記載時の注意点も変わります。
- 中古家電の場合:保管場所の安全性や仕入れルートを聞かれることがある
- 中古車販売の場合:車両保管場所(駐車場)の契約書や地図を求められることが多い
申請書の段階で「どこで商品を保管して、どう管理するか」を明確にしておくと安心です。
つまり、記入のコツはシンプルにまとめるとこうです。
- 役所の書類をそのまま転記して「一致させる」
- 空白を作らず、きちんと経歴をつなげる
- 営業所や管理者は実態を伴わせる
この3つを守るだけで、申請がぐっとスムーズになります。
リユースビジネスを成功させる3つの準備
「古物商許可を取った!さあ販売開始だ!」——その意気込みは素晴らしいですが、ここから先に落とし穴があります。
実際の現場では「許可を取ったのに軌道に乗らない」「管理が追いつかない」と悩む人も少なくありません。そこで、リユースビジネスを成功に導くための3つの準備をご紹介します。
1. 許可取得後の帳簿管理を仕組み化する
古物商許可を取った以上、古物台帳の記録は避けられません。
- いつ、誰から、どんな商品を仕入れたか
- いつ、誰に売却したか
これを漏れなく記録する必要があります。紙の台帳でも構いませんが、今はアプリやエクセル管理を導入する人も増えています。ポイントは「後回しにしない」こと。取引のたびに記録をルール化しておけば、警察の立ち入り検査があっても安心です。
2. メルカリだけに依存しない販路設計
最初はメルカリから始める人が多いですが、長期的に見ると販路の多角化がカギになります。
- 中古家電 → 自社ECサイトやヤフオクへの展開
- 中古車 → 専門オークションとの併用
- ブランド品 → 専門の委託販売サービスも活用
「メルカリで売れなくなったら終わり」では不安です。複数の販路を持っておくことで、安定した収益モデルを作ることができます。
3. サステナブル意識を活かした差別化
今の時代、「安く買える」だけでは差別化が難しくなっています。そこで効果的なのが、サステナブル(持続可能性)を前面に出すブランディングです。
- 「リユースで環境に貢献しています」と発信する
- 梱包材をリサイクル素材に切り替える
- 修理やメンテナンスを加えて商品寿命を延ばす
こうした工夫は、ただの転売と一線を画し、お客様からの信頼とファン化につながります。特に円安や物価高の影響で「新品より中古に目を向ける層」が増えている今、サステナブル視点は強い武器になります。
つまり、許可取得後にすべきことは「帳簿管理」「販路拡大」「サステナブル発信」。
この3つを押さえれば、単なる副業から継続的に成長できるビジネスへとステップアップできます。
失敗しない古物商許可申請と最初の一歩
ここまで、古物商許可を取るための必要書類や記入のコツ、そして許可取得後にやるべき準備について解説してきました。振り返ってみると、古物商許可は「副業だから」といって避けて通れない、大切なスタート地点です。
- 無許可での営業は罰則やアカウント停止につながるリスクがある
- 必要書類は意外と多いが、リスト化して一つずつそろえれば確実に進められる
- 記入時は「役所の書類と完全一致」「空白を作らない」「実態に基づく」ことがポイント
- 許可取得後は「帳簿管理」「販路拡大」「サステナブル発信」の3つが成功のカギ
このように、古物商許可は単なる形式的な手続きではなく、リユース・サステナブルビジネスを安心して続けるための基盤になります。
「申請って難しそう…」と思うかもしれません。でも実際には、準備をきちんと進めれば誰でも取得できます。
まずは 必要書類をそろえるチェックリストを作ることから始めてみましょう。それだけで「やるべきこと」が一気に見える化します。
もし途中で「これで合っているのかな?」と不安になったら、専門家(行政書士など)に相談するのも一つの方法です。最短ルートで手続きを進めたい人には心強い味方になるはずです。
メルカリ、副業、中古家電、中古車…どんな分野でも、「リユース=未来につながるビジネス」です。
小さな一歩が、やがて大きなチャンスになるかもしれません。