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古物商許可って何?メルカリやリユースでなぜ必要なのか
「メルカリでちょっと不要品を売っただけなのに、古物商許可が必要って本当?」
こう感じる方はとても多いです。確かに自宅にある洋服や本を一度だけ出品するだけなら、基本的に許可はいりません。けれども 中古品を継続して売る、仕入れて販売する、収益を得る目的で繰り返す といった場合は、法律上「古物営業」にあたり、古物商許可が必要になります。
フリマアプリ副業でも”グレーゾーン”になりやすい
特にメルカリやヤフオクなどのフリマアプリでは、副業感覚で中古品を売り始める人が増えています。最初は自分の不用品を出していたつもりでも、
- 利益を目的に仕入れを始めた
- 家族や友人からまとめて品物を預かって販売した
- 中古家電や中古車の小規模ビジネスに発展した
こうしたケースでは、古物商許可が求められる可能性が一気に高まります。
リユース市場の拡大と社会的背景
ここ数年、円安や物価高の影響もあり「中古で安く手に入れたい」というニーズが急速に広がっています。加えて、環境意識の高まりから「リユース」や「サステナブル」がキーワードとなり、中古家電や中古車などの流通は右肩上がりです。
つまり、リユースビジネスは今まさにチャンスが広がる分野ですが、その一方で 法律に基づいたルールを守らないと、許可の取り消しや罰則のリスクがある ということを忘れてはいけません。
これから古物商許可を申請しようと考えている方も、「副業だから大丈夫でしょ」と思っている方も、まずは仕組みとルールを理解することが安全なスタートにつながります。
古物商許可申請で落とし穴になりやすい欠格要件
「せっかく準備したのに、申請が通らなかった…」
そんな残念な結果になるのを防ぐために、まず確認してほしいのが 欠格要件 です。これは、一定の条件に当てはまると古物商許可を取れない、いわば「申請のストッパー」となる規定です。
欠格要件とは?
法律で定められている「この人には許可を与えられません」という条件のこと。犯罪歴や破産歴など、社会的信用に関わる部分が中心です。
よくあるNGパターン
申請で落とし穴になる代表的なケースをピックアップします。
- 過去に禁錮以上の刑を受け、5年以内に経過していない
- 古物営業法や盗品関連の法律に違反したことがある
- 破産手続をして復権していない
- 成年被後見人・被保佐人に該当している
- 営業所の実態がない(形式だけの住所やシェアオフィスで不可の場合も)
「え、そんなことまで?」と思う項目もあるかもしれません。でもこれは「中古品=盗品に紛れやすい」という性質があるため、健全な市場を守るために厳しく定められているのです。
副業でも注意が必要
特にメルカリやネット販売で副業をしている方は、「自宅を営業所にして大丈夫?」という不安が多いポイント。実際、自宅を営業所にできるケースもありますが、
- 家族に反対されている
- 賃貸契約で禁止されている
- 書類上のスペースしかなく、実際の管理環境がない
こうした場合は「営業所の要件を満たさない」と判断され、欠格要件に引っかかることがあります。
つまり、欠格要件は単なる「過去の経歴チェック」だけでなく、「これから営業していく実態」が伴っているかも審査対象になるわけです。
中古品ビジネスと欠格要件 ~実際に起こる困りごと~
「自分には関係ない」と思っていた欠格要件。実際には、気づかないうちに大きなリスクを抱えているケースが少なくありません。ここでは、中古品ビジネスを始めるときに起こりがちなトラブルを整理してみます。
許可が下りない=在庫が”不良資産”になる
例えば、中古家電をまとめて仕入れたあとで「営業所要件を満たしていない」と判明し、許可が下りなかった場合。その在庫は堂々と販売できなくなり、在庫を抱えたまま資金だけが目減りしてしまいます。
中古車販売でも同じで、仕入れた車を売れないまま置いておくことになれば、維持費や場所代が余計にかかります。
許可取り消しでビジネスが一瞬でストップ
「最初は許可が取れたけど、その後に問題が発覚して取り消し」という事態もあります。例えば、実際には営業実態のない住所を登録していた場合、後日調査でバレれば許可は取り消されます。取り消し後に販売を続ければ「無許可営業」となり、処罰の対象に。
信用を失うと顧客も離れる
リユースやサステナブルを旗印にビジネスを始めても、「あの店は許可を持っていない」と口コミが広がれば、たちまち信用を失います。中古品はそもそも品質への不安がつきまとうもの。そこに「法的に怪しい」という印象が加わると、顧客はすぐに離れてしまいます。
「環境意識」や「円安で需要拡大」も、法的リスクを無視すれば無意味
せっかく時代の追い風(円安による輸出需要、環境配慮の流れ)があるのに、欠格要件を軽視したばかりに参入できない…というのは非常にもったいないことです。
古物商許可をスムーズに取るための3つのポイント
「許可の壁を越えられるのか心配…」
そんな方に向けて、古物商許可をスムーズに取るための実践ポイントを3つ紹介します。
① 欠格要件の事前セルフチェック
まずは「自分が申請できる立場にあるか」を確認することが最優先。
- 犯罪歴や破産歴に該当しないか
- 営業所として使う場所に問題はないか(賃貸契約・同居家族の同意など)
- 必要な書類(住民票・登記簿・身分証明書など)を揃えられるか
申請書を出してから「ダメでした」となるより、事前確認の方が圧倒的に効率的です。
② 営業所・書類・費用の準備を怠らない
許可は「形だけ」では下りません。営業所は机・棚・パソコンなど管理できる環境が必要ですし、書類も自治体によって細かい違いがあります。さらに申請手数料(多くは1万9千円)がかかるので、資金計画も合わせて準備しておきましょう。
「ネット副業だから自宅の一室でOKでしょ」と思っても、警察署の担当者に確認されると意外に厳しく見られることがあります。
③ 将来を見据えたビジネス設計
今は「メルカリでちょっと副業」のつもりでも、いずれは中古家電を扱うECサイトを作るかもしれませんし、中古車販売に広げるかもしれません。輸出入ビジネスに発展する可能性だってあります。
そのときに「最初の申請が不十分だったからやり直し」というのは大きなロス。最初から「どこまで広げたいか」をイメージして申請しておくと、後々スムーズに展開できます。
安心してリユースビジネスを始めるために
中古品市場は、円安や物価高、そして環境意識の高まりによってこれからも拡大していきます。メルカリやECで副業を始めたい方にとっては大きなチャンスですが、その入り口でつまずきやすいのが 「古物商許可」と欠格要件の存在 です。
- 古物商許可は「安心して売るためのパスポート」
- 欠格要件を軽視すると、申請却下や許可取り消しでビジネスが止まる
- 営業所や書類の準備、将来の展開を見据えた計画が成功のカギ
せっかくの市場の追い風を活かすためには、まずルールを守ることが前提です。
「自分は申請できるのかな?」
「営業所の条件を満たしているのかな?」
そんな不安を感じたら、欠格要件のセルフチェックをしてみてください。わからない点があれば、専門家(行政書士など)に確認するのも一つの方法です。
安心してリユースビジネスを始めるために——。
最初の一歩は、欠格要件の確認からです。