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「古物商」と「リサイクル業」って何が違うの?
メルカリで副業を始めたい、中古家電の販売をやってみたい――そんなときに必ずといっていいほど出てくるのが、古物商許可って必要なの?という疑問です。
一方で、テレビやニュースなどではリサイクル業という言葉も耳にします。古物商とリサイクル業、どちらも中古品を扱うイメージが強いので、境目が分かりづらいのも無理はありません。
例えばこんな声をよく聞きます。
- 自宅の不用品をメルカリで売っているだけなら古物商はいらない?
- 中古車を仕入れて販売するときは古物商?それともリサイクル業?
- 資源回収をしている業者さんと同じ扱いになるの?
もし違いを理解しないまま進めてしまうと、実は古物商許可が必要だったのに無許可営業になってしまうリスクがあります。逆に、必要ないのに不安だからと申請してしまうと、余計な手間やコストをかけることにもつながります。
この章では、まず古物商とリサイクル業という二つの言葉の混同しやすさに触れ、次章以降でそれぞれの制度や必要になるケースを具体的に整理していきます。
古物商許可が必要になるケースとは?
古物商許可が必要かどうかは、何をどんな形で扱うかによって変わります。結論からいえば、中古品を仕入れて販売する場合は古物商許可が必要です。ここでは典型的なケースを整理してみましょう。
古物商許可の基本ルール
古物とは、一度でも消費者の手に渡った物のことを指します。新品で仕入れた商品を売るのは問題ありませんが、中古品を買い取って販売する場合は古物商許可が必要です。
対象は衣類・ブランド品・家具・工具・CD・本・中古車・中古家電など多岐にわたります。
メルカリで副業する場合の注意点
よくある質問が、メルカリでの販売に古物商が必要かどうかです。
- 自宅にある不用品を売るだけなら、古物商は不要
- フリマ(対面での直接取引)やネットで仕入れて転売する場合は古物商が必要
※ネット仕入れの場合も、相手の身元確認が必須です。
(参考:「ちょっと売るだけ」でも許可が必要になるケース)
つまり、自分の家に眠っている物を片付ける感覚なら心配いりません。しかし、仕入れた商品を継続的に販売して利益を得るなら、古物商許可を取るのが前提になります。
中古車・中古家電ビジネスでの実務例
特に注意が必要なのが、中古車や中古家電を扱うケースです。
- 中古車をオークションで仕入れて販売する
- リサイクルショップから中古家電を仕入れてネット販売する
こうした場合は明確に古物商許可が必要です。許可を取らずに始めると、無許可営業として処罰対象になる可能性もあります。
リサイクル業との違いを整理する
古物商とリサイクル業は、どちらも中古品や使い終わった物を扱うため、同じものに見えがちです。しかし、制度上ははっきりとした違いがあります。
リサイクル業とは何か?
リサイクル業は、資源を再利用することを目的とした事業です。
例えば、鉄くずやアルミ缶、古紙などを集めて処理し、再び原材料に戻す活動がこれにあたります。
産業廃棄物処理業や資源回収業として許可を受けているケースが多く、あくまで「資源として再利用すること」が中心です。
古物商との境界線
古物商が目的とするのは、不要になった物を「再び商品として販売する」ことです。
一方でリサイクル業は、物そのものを使うのではなく「材料として再生」する点が大きな違いです。
例えば、中古家電を買い取って再度販売するのは古物商。
壊れた家電を解体し、鉄や銅などの資源に戻して再利用するのはリサイクル業。
つまり、
- そのまま商品として流通させる → 古物商
- 資源に変えて再利用する → リサイクル業
と整理するとわかりやすいでしょう。
サステナブルな観点からの違い
リユースとリサイクルは、どちらも環境意識の高まりの中で重要な役割を担っています。
- リユース=物をそのまま使い続ける(古物商の領域)
- リサイクル=資源に戻して使う(リサイクル業の領域)
どちらもサステナブルな社会には欠かせませんが、法律上の取り扱いや必要な許可はまったく異なります。ここを混同すると、思わぬトラブルにつながることもあります。
失敗しない!古物商許可を取る前に押さえる3つの準備
古物商許可は、書類をそろえて提出すればすぐに通るわけではありません。事前に準備しておかないと、申請窓口で差し戻されたり、想定外の時間がかかったりすることがあります。ここでは特に重要な3つの準備を紹介します。
営業所要件を整える(机・棚・スペースの確保)
警察署が古物商の営業所を確認するときは、実際に業務を行える環境があるかを見ます。
机や棚がなく「自宅の一角に段ボールが置いてあるだけ」では不十分とされることもあります。副業であっても、最低限の設備をそろえておきましょう。
必要書類を早めに確認(住民票・登記簿・「ないこと証明」など)
古物商許可には、多くの添付書類が必要です。代表的なものは次のとおりです。
- 住民票(本籍入り)
- 身分証明書(本籍地の市区町村で取得)
- 法人の場合は登記簿謄本
- 「欠格事由に該当しない」ことを示す証明書(いわゆるないこと証明)
取得に時間がかかる書類もあるため、申請直前ではなく早めに準備するのが安心です。
副業ならビジネスモデルを小さくテストする
古物商許可を取っても、継続して販売をしなければ意味がありません。
特に副業でメルカリを使う人は、まずは小さな規模でビジネスモデルを試し、どのくらいの利益や作業負担になるかを把握しておくと良いでしょう。
最近は円安の影響で、中古家電や中古ブランド品を海外に販売する需要も増えています。許可を取る前に、どんな商材でどの市場を狙うのかを考えておくと、スムーズに動き出せます。
まとめ、次の一歩
ここまで、古物商とリサイクル業の違い、古物商許可が必要なケース、そして申請前の準備についてお伝えしてきました。
改めて整理すると、ポイントは次のとおりです。
- 古物商は「中古品を仕入れて販売する」ための許可
- リサイクル業は「資源として再利用する」事業で、目的が異なる
- メルカリで不用品を売るだけなら許可不要だが、仕入れて継続的に販売するなら必須
- 許可申請の前には、営業所要件・必要書類・ビジネスモデルの3点を準備しておくことが大切
中古車や中古家電、ブランド品などを扱うビジネスは、規模の大小にかかわらず今後も需要があります。円安の影響やサステナブル志向の高まりから、リユース市場はさらに広がっていくでしょう。
もしあなたが「副業から始めたい」「小さくても安定したビジネスを築きたい」と考えているなら、まずは自分のケースで古物商許可が必要かどうかを確認することが第一歩です。
許可が必要と分かった場合は、独学での申請も可能ですが、書類や要件に不安があれば専門家に相談するのもおすすめです。安心してスタートを切るためのサポートを受けられるからです。