古物商許可を取ったが、営業所の実態がなく取り消されるケース

古物商許可を取ったが、営業所の実態がなく取り消されるケース

2025年9月4日

なぜ古物商許可が必要?市川市でも起こり得る取り消し事例

「古物商許可を取れば、メルカリやリユースの副業を安心して始められる」
そう思って申請を通したものの、あとから取り消されてしまうケースがあります。

全国的に、営業所の実態が認められない場合に古物商許可が取り消されるケースが報告されています。

古物商許可を受けるには、営業所として認められる場所が必要です。実際に業務に使用できる十分なスペースや設備が備わっていることが求められ、机や棚など具体的な設備も実態確認の基準となります。

副業でメルカリやネット販売をしている方の中には、「自宅を営業所にすればいいだろう」と考える人も少なくありません。自宅を営業所として申請する場合は、業務用スペースを設けて生活スペースと分けることが望ましいですが、詳細な運用は所轄警察署によって異なります。

つまり、形だけ住所を申請すればいいわけではなく、「そこで実際に業務を行える環境になっているか」重要なポイントなのです。

この記事を読んでいる方の中には、これから中古家電や中古車の取引、副業でのリユースビジネスを始めようと思っている方も多いでしょう。最初の段階で準備を怠ると、せっかく取った古物商許可が取り消されるリスクがあります。

次の章では、古物商許可の基本と、特に勘違いが多いポイントについて整理していきます。

古物商許可の基本と勘違いしやすいポイント

古物商許可は、中古品を仕入れて販売するビジネスをするために必要な免許です。対象となるのは、中古家電や中古車、ブランド品、ゲームソフト、洋服など幅広いジャンルに及びます。最近ではメルカリやヤフオクといったフリマアプリの普及により、副業感覚で中古品を扱う人が増えています。その結果、「自分も古物商許可が必要なのか」と悩む方が多くなってきました。

中古品とは何か

一度でも人の手に渡ったものは、中古品とみなされます。新品のように見えても、誰かが購入して所有したことがあれば中古扱いです。たとえば、未使用のスマートフォンを転売するときも古物商許可が必要になる可能性があります。

自宅を営業所にできるのか

よくある質問が「自宅を営業所にできるかどうか」です。結論としては可能ですが、条件があります。警察署が確認するのは、申請した場所で本当に業務を行えるかどうか。

生活スペースと同じ部屋にパソコンや商品を置いているだけでは、営業所として十分とみなされないことがあります。業務専用に使えるスペースを設けることが望ましいですが、細かな判断は所轄警察署によって異なります。

許可が取り消される典型パターン

実際に取り消しにつながるのは、次のようなケースです。

  • 住所貸しやバーチャルオフィスを営業所として申請した
  • 実際には業務環境が整っていないのに形式的に住所だけ申請した
  • 営業所を移転したのに、変更の届け出をしていない

これらはいずれも「営業所の実態がない」と判断されやすいポイントです。

参考:警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について」

古物商許可は一度取れば終わりではなく、その後も営業所の実態を維持し続ける必要があります。メルカリやリユースビジネスを始める方にとって、最初に理解しておくべき大切な基礎です。

次の章では、メルカリ副業で特に見落としがちなリスクと、準備しておくべきことを具体的に解説していきます。

メルカリ副業で見落としがちなリスクと準備

メルカリやヤフオクなどのフリマアプリは、手軽に始められるのが魅力です。最初は「家の不要品を処分するだけだから大丈夫」と考える方も多いでしょう。不要品の販売であれば古物商許可は必要ありません。

ただし、繰り返し仕入れて販売するようになると、それは古物営業とみなされ、古物商許可が必要になります。ここで注意しなければならないのが「仕入れ方」です。

「ちょっと売るだけ」でも許可が必要になるケース

家庭の不用品を処分するのではなく、フリマアプリやオークションサイトで安く仕入れて販売する行為は、古物営業にあたります。

ところが、これらのサービスでは取引相手の氏名や住所を正確に確認できない場合が多く、古物台帳に必要な記録を残せません。匿名配送を利用すれば、なおさら相手を確認することは困難です。

警察庁や警視庁の通達でも「フリマアプリやオークションサイトでの仕入れは、原則として古物営業の仕入れ先として認められない」と繰り返し注意が呼びかけられています。

住所貸しやバーチャルオフィスの落とし穴

低コストで始めたいと考え、住所貸しサービスやバーチャルオフィスを営業所にしようとする人もいます。しかし、そこに机や棚といった備品がなく、実際に業務を行える環境がない場合、申請は通りません。無理に申請しても、あとから取り消されてしまうリスクがあります。

警察署の審査でチェックされる3つの視点

警察署の担当者が確認するのは、次のような点です。

  • 営業所に実際の業務環境が整っているか
  • 帳簿の記録や管理体制が機能しているか
  • 古物営業を適切に行う意思と体制があるか

形式的な書類だけでなく、実際に業務を行える環境と仕組みがあるかどうかが問われます。

副業でメルカリを利用している方にとって、これらは見落としがちなリスクです。逆に言えば、ここをしっかり準備しておけば安心して進められるということでもあります。次の章では、失敗を防ぐための具体的な行動ポイントを3つに絞って紹介します。

失敗しないための3つの実践ポイント

古物商許可を取得しても、準備不足のままでは取り消しやトラブルにつながりかねません。安心してメルカリやリユースビジネスを進めるために、特に押さえておきたい3つの実践ポイントを紹介します。

営業所の実態を整える(物理的な要件)

まず欠かせないのが、営業所として認められる環境づくりです。
営業所として実際に業務や帳簿管理、商品の保管ができる環境が必要です。机や棚といった設備も確認対象になりますが、最も重視されるのは業務スペースとして機能しているかどうかです。

自宅を営業所とする場合は、生活スペースとは分けて業務用に使用できるスペースを設けることが望ましいとされています。ただし、細かな判断基準は所轄警察署によって異なります。

警察署の確認で「ここで業務をしている」と説明できる状態にしておくことが安心につながります。

事業計画を作り、仕入れ先とサステナブルの視点を整理する

副業とはいえ、仕入れや販売を継続して行うなら、事業としての計画性が必要です。

どんな商品を扱うのか、販売のペースや利益の見込みをどう設定するのかを整理しましょう。その際、仕入れ先の選び方も非常に重要です。

フリマアプリやオークションサイトからの仕入れは、相手の本人確認ができないため、古物台帳に必要な記録を残すことができません。

警察庁は「本人確認が困難な場合は、古物営業法上の仕入れ先として原則認められない」との通達を出しており、警視庁の公式HPでも注意が呼びかけられています。

帳簿に記録できる相手の情報を取得できるルートを選び、信頼できる仕入れ方法を確立することが欠かせません。さらに、サステナブルやリユースの価値を意識した取り組みを示すことで、購入者からの信頼を得やすくなります。

専門家に相談してショートカットする方法

古物商許可は警察署への申請が必要で、書類や要件確認に手間がかかります。初めての方にとっては、何をどう準備すればよいか分からずに時間を浪費してしまうこともあります。

そんなときは行政書士に相談するのも一つの方法です。必要書類の整え方や営業所要件のチェックをしてもらえるので、申請のやり直しや取り消しのリスクを減らすことができます。

安心してリユースビジネスを始めるために

古物商許可は、メルカリやフリマアプリでの副業、小規模な中古品ビジネスを進めるうえで欠かせない制度です。営業所の実態がないまま申請すると、せっかく取った許可が取り消されてしまうこともあります。しかし、きちんと準備すれば安心して活動を続けられます。

今後広がるリユース・サステナブル市場の可能性

環境意識の高まりやサステナブルの流れは、これからさらに加速していきます。中古家電や中古車、ブランド品の需要は拡大しており、リユース市場は成長分野といえます。

円安や物価高を追い風にするECビジネスのチャンス

新しいものが高騰している今だからこそ、中古品の価値が見直されています。メルカリやネット販売をうまく活用すれば、生活の一部としても、収入源としても大きな可能性があります。

行動は「まず営業所の準備」から

古物商許可をスムーズに取得するための第一歩は、営業所の要件を整えることです。そのうえで事業計画を考え、必要なら専門家に相談しながら進めましょう。準備を怠らなければ、安心して長くリユースビジネスを続けられます。

副業としての一歩を踏み出すのも、将来的に大きく広げていくのも、最初の準備次第です。チャンスを逃さないために、今できることから動いてみてください。