古物商許可に必要な「営業所」とはどのような要件ですか?

古物商許可に必要な「営業所」とはどのような要件ですか?

目次

なぜ「営業所」が古物商許可で重要なのか

自宅でもできる?と考える人が多い理由

最近では「メルカリやヤフオクで副業を始めたい」「中古家電を仕入れて販売したい」という個人の方が増えています。
そんなとき最初に調べるのが「古物商許可の取り方」ですが、その中で意外と多くの人がつまずくのが「営業所って何?自宅でもいいの?」という部分です。
警察署のホームページを見ても、「営業所を設けること」としか書かれていないため、具体的なイメージがつかみにくいのが実情です。

「営業所」と「作業場所」はまったく違う

古物商許可でいう「営業所」とは、単に商品を保管したり撮影したりする場所ではなく、取引や契約の拠点となる場所を指します。
たとえば、商品の仕入れ・販売・顧客対応を行う主体としての住所、名刺や領収書に記載する所在地がここにあたります。
つまり、あなたが「事業を営む場所」として、警察に説明できる体制が必要なのです。

「作業スペース」や「倉庫」しかない場合、営業所とはみなされません。
パソコンひとつでできる副業感覚であっても、法律上は事業拠点としての住所が求められます。
この考え方を理解していないと、申請後の現地確認で「実態がない」と判断され、不許可になることもあります。

営業所が求められる理由

では、なぜそこまで営業所が重視されるのでしょうか。
それは、古物営業法が「盗品の流通防止」を目的としているためです。
もし匿名的な住所や架空の場所で古物商を営んでしまうと、万が一不正取引があった際に警察が実態を把握できなくなってしまいます。
そのため、営業所は「連絡が取れる」「書類を保管できる」「実際に使用している」ことが重要なのです。

実際、警察署では現地確認の際に、机・椅子・パソコン・電話・看板などがそろっているかどうかをチェックします。
これらは「見栄え」の問題ではなく、事業の実態を示すための最低限の要素として見られています。

副業でも「事業拠点」として整える意識を

市川や船橋、松戸などで副業として古物商許可を申請する方の多くは、最初「自宅の一室で大丈夫ですか?」と不安を抱えています。
結論から言えば、自宅でも条件を満たせば問題ありません。
ただし、「家族の私室を借りているだけ」「他人名義の賃貸」など、使用権限が不明確な状態では認められない可能性があります。

営業所は、“形式的に存在するだけ”では意味がありません。
警察が「ここで本当に古物取引を行っている」と納得できる環境を整えることが、許可取得への第一歩です。

「営業所」として認められるための3つの基本条件

古物商許可の申請で最も審査されるのが、この「営業所の要件」です。
ここがあいまいなままだと、どんなに書類が整っていても不許可になることがあります。
そこでまず押さえておきたいのが、営業所として認められるための3つの基本条件です。

① 継続的な事業を行う場所であること

営業所は、一時的な利用スペースや単なる自宅の一角ではなく、事業を継続して行う拠点であることが求められます。
「月に1回だけ仕入れをする」「たまに販売するだけ」といった形では、営業の実態として不十分と判断されることもあります。

また、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどを利用する場合、「常に専用で利用できる状態であるか」がチェックされます。
日替わりで入れ替わるようなシェアオフィスの場合は、実際に営業所として認められにくいのが現状です。

② 契約や管理が可能なスペースが確保されていること

営業所は、顧客対応や取引管理ができる環境であることも重要です。
具体的には、机・椅子・パソコン・電話・保管用の棚など、最低限の設備があることが望ましいとされています。

また、古物台帳や取引記録を保管できるスペースがあることもポイントです。
「ノートパソコンだけで仕事をしている」場合でも、取引履歴をきちんと保存・提示できる体制があれば問題ありません。
逆に、部屋に生活用品が散乱していたり、作業机と寝具が一体化しているような環境だと、
「営業所としての区分が不明確」と判断されることもあります。

③ 権利関係が明確であること(賃貸・自己所有など)

もう一つ重要なのが、営業所の使用権限です。
自分名義の持ち家であれば問題ありませんが、賃貸物件の場合は「営業利用が許可されているか」を必ず確認しましょう。

賃貸契約書に「居住専用」「転貸禁止」といった条項がある場合、
大家の承諾書を求められるケースもあります。
また、同居家族の部屋を間借りしているだけでは、「本人の管理下にある営業所」として認められないことがあります。

この点は、警察署の生活安全課でも非常に慎重に確認される部分です。
営業所の名義や契約状況があいまいだと、「実際に使用できない可能性がある」として不許可になることもあります。

営業所は「形式」ではなく「信頼性」

営業所に求められているのは、見た目の立派さではありません。
警察が求めているのは、「実際にここで古物取引が行われている」という信頼性です。
そのため、机や看板を形だけそろえるより、使用権限・事業の継続性・取引管理の仕組みを明確に示すことが大切です。

よくあるNG事例とその回避策

古物商許可の申請で「営業所の不備」による不許可は、実はとても多いです。
「自宅だから大丈夫だと思った」「契約書に問題ないと思っていた」──
そんな油断が思わぬ落とし穴になることもあります。
ここでは、実際に相談で多い3つのNG事例を紹介しながら、どうすれば回避できるのかを見ていきましょう。

アパートの一室で断られるケース

最も多いのが、「アパートの一室を営業所として申請したが、認められなかった」という事例です。
原因の多くは、賃貸契約上の制限にあります。
契約書に「居住専用」や「事業利用不可」と書かれている場合、たとえ自宅でネット販売をしていても、営業所としては認められません。

また、部屋の一部を使っているだけで、明確な区分がない場合もNGです。
生活空間と作業スペースが混在していると、「事業としての実態が不明確」と判断されやすくなります。

回避策
事前に大家さんや管理会社に相談し、「古物商許可申請で営業所登録したい」と伝えて了承を得ること。
承諾書を一筆もらっておけば、審査時に大きな安心材料になります。

郵便受けや看板がない場合のリスク

営業所の住所は、取引相手や警察から見て実在することがわかることが重要です。
そのため、看板・表札・ポストの表示がない場合、「ここが事業所であると確認できない」とされることがあります。

特に最近では、ネット販売が主流になっており、「お客様を招くことがないから」と看板を設けない人もいます。
しかし、警察署の現地確認では「営業所の表示」が確認項目に含まれているため、最低限の表示はしておくのが安心です。

回避策
表札やポストに「〇〇リユース」「〇〇商店」など屋号を入れる。
インターホン横など目立たない場所でも問題ありません。
要は「実際に存在している」と証明できることが大切です。

名義貸し・使用権不明確による不許可例

もう一つの典型的なNGが、他人名義の住所を借りて申請するケースです。
たとえば友人宅の住所を借りたり、家族名義の自宅をそのまま使ったりするケース。
この場合、警察から「あなたに使用権がない」とみなされ、不許可になります。

また、登記上は本人名義でも、実際に他人が事業を行っていると、「名義貸し」と見なされて処分対象になることもあります。

回避策
営業所の住所は、必ず本人が使用権限を有する実在の場所に限定すること。
もし家族所有の自宅を使う場合でも、「使用承諾書」を添付するのが望ましいです。

小さな違いが「不許可」と「許可」を分ける

営業所の審査は、ほんの小さなポイントで結果が変わることがあります。
「机がある」「契約書を置いている」など、実務的な整備を行うだけで、印象は大きく変わります。

市川・船橋・松戸などの警察署でも、
「形だけ整えた営業所」と「実際に管理できている営業所」はすぐ見分けられるといわれています。
大切なのは、“見せかけ”ではなく、“実態”を整えることです。

市川・船橋・松戸エリアの審査傾向とポイント

古物商許可は、申請窓口となる警察署(生活安全課)によって、確認項目や求められる書類がわずかに異なる場合があります。
同じ千葉県内でも、市川・船橋・松戸の3エリアでは審査の着眼点に“地域性”が見られるのが特徴です。
ここでは、それぞれの傾向をふまえた申請時のポイントを整理します。

市川エリア・書類の正確性と説明の丁寧さがカギ

市川警察署では、営業所の「権限関係」や「用途制限」に特に注意が払われる傾向があります。
たとえば賃貸契約書に「住居専用」と書かれている場合、たとえ自宅兼事務所であっても、大家の承諾書の提出を求められることがあります。

また、用途確認の電話連絡や現地確認の際、「ここでどういった商品を扱うのか」「仕入れ方法は?」など、
具体的な説明を求められるケースも少なくありません。
そのため、書類を整えるだけでなく、口頭で説明できる準備もしておくと安心です。

船橋エリア・営業所の実在性・物理的な環境を重視

船橋市内では、比較的申請件数が多く、生活安全課の担当者も古物営業に慣れています。
その分、「実際に営業している環境かどうか」にシビアです。

現地確認では、

  • 看板や表札が設置されているか
  • 机やパソコンなど、最低限の設備がそろっているか
  • 書類を保管するスペースが確保されているか
    といった点を細かくチェックされる傾向があります。

とくに、アパートやマンションの一室を利用する場合は、共用部分での営業表示は禁止されている物件もあるため、屋号入り表札をドア横やポストに控えめに貼るなど、「目立たず、しかし確認できる」形で工夫することがポイントです。

松戸エリア・管理体制と取引内容の説明に注目

松戸警察署では、営業所の環境だけでなく、取引の管理体制(古物台帳の管理や仕入先の確認方法)についても質問されることがあります。
とくに中古車・中古家電などのジャンルでは、盗品防止の観点から、仕入れルートや保管場所の説明が重視されます。

また、近年では外国人経営者やEC事業者の申請も増えており、「販売プラットフォーム(メルカリ・ラクマなど)をどう使うのか」「顧客対応をどの住所で行うのか」など、オンライン取引の実態を確認されるケースもあります。

対策としては、
事業計画書や簡単なフロー図を作成し、どのように商品を仕入れ・販売・管理しているかを明確に示せるようにしておくとスムーズです。

事前確認と「一言相談」でリスクを減らす

どの警察署でも共通して言えるのは、申請前に生活安全課へ電話で一言相談するだけで、トラブルを防げるということです。
「この住所で申請予定ですが問題ありませんか?」
「賃貸契約が居住専用ですが、承諾書があれば大丈夫ですか?」
──そんな軽い確認で、不許可リスクを大きく下げられます。

市川・船橋・松戸はいずれも商業地・住宅地が混在するエリア。
申請件数が多い分、担当者も経験豊富です。
焦らず丁寧に準備することで、スムーズに許可を得られるでしょう。

営業所の整備から許可取得までのステップ

古物商許可の申請は、書類さえ整えばすぐに終わると思われがちですが、
実際には「営業所の整備」こそが最大のポイントです。
ここでは、申請の全体像を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1・営業所の環境を整える

最初に行うべきは、営業所の“実態”を整えることです。
机・椅子・パソコン・電話・書類棚など、最低限の設備を用意し、「ここで取引・管理が行われている」と説明できる状態にします。

もし自宅の一室を使う場合は、生活スペースと区別できるように工夫しましょう。
たとえば、仕事専用の机を置き、壁に屋号を掲示するだけでも印象が変わります。

また、ポストや玄関に屋号入りの表示をしておくと、現地確認の際に「営業所としての実在性」が伝わりやすくなります。

ステップ2・必要書類をそろえる

営業所が整ったら、次は書類の準備です。
主な書類は次のとおりです。

  • 古物商許可申請書
  • 略歴書・誓約書
  • 住民票(本籍入り)
  • 身分証明書(本籍地の市区町村発行)
  • 登記されていないことの証明書(法務局発行)
  • 営業所の賃貸契約書や使用承諾書
  • 管理者選任届

これらを整える際にミスが多いのが、「身分証明書」です。
運転免許証とは別物で、本籍地の市区町村で発行される証明書が必要になります。
ここを勘違いして遅れる方が非常に多いので注意しましょう。

ステップ3・管理者を選任し、台帳管理の準備を

古物商許可では、営業所ごとに管理者を置く必要があります。
個人事業主であれば本人が兼ねても問題ありませんが、
複数店舗を運営する場合は、それぞれに管理者を指定する必要があります。

また、申請前に「古物台帳」の管理方法も考えておきましょう。
紙の台帳でも、Excelなどの電子台帳でも構いません。
要は「いつ・誰から・何を・いくらで仕入れたか」を正確に記録できる仕組みを
整えておくことが重要です。

ステップ4・警察署(生活安全課)へ申請

書類と環境が整ったら、営業所所在地を管轄する警察署へ申請します。
担当部署は「生活安全課(防犯係)」です。
窓口で内容確認が行われ、受理されると審査が始まります。

審査期間はおおむね40日程度
この間に現地確認が行われることもあります。
無事に許可が下りれば、警察署で「許可証」を受け取ります。

スムーズに進めるための3つのコツ

  1. 早めの事前相談
    営業所の住所や契約条件に不安があれば、生活安全課に事前確認を。
  2. 書類の抜け漏れ防止
    特に「身分証明書」と「承諾書」は忘れがち。
  3. 整った環境づくり
    机・看板・台帳など、形式よりも実態を重視。

これらを意識するだけで、審査は驚くほどスムーズに進みます。

許可取得後も安心して続けるために

許可を得た後は、古物営業法に基づく帳簿記録義務標識表示義務を守ることが大切です。
中古家電・中古車・ブランド品など、取扱うジャンルが広がるほど責任も大きくなります。
環境意識やリユースの波に合わせて、正しく安全な取引を続けていくことが信頼につながります。