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法人申請は「書類の山」との戦い?
「会社で新しく中古品ビジネスを始めたい!」
そう決まったとき、まず最初にぶつかる壁が「古物商許可」の壁ですよね。個人で取るならまだしも、法人(会社)として申請するとなると、急にハードルが上がったように感じる方も多いのではないでしょうか。
特によく驚かれるのが、「えっ、私(代表)だけじゃなくて、役員全員の書類が必要なんですか!?」という点です。
「うちの役員は名前を貸しているだけで、現場には一切出ないんだけど……」
「監査役の人に、わざわざ住民票まで取ってもらうのは気が引けるなぁ……」
そんなふうに思ってしまう気持ち、本当によく分かります。皆忙しい中で「役員全員分の公的書類を集める」というのは、物理的にも心理的にも結構な負担なんですよね。
でも、安心してください。なぜそれが必要なのか、そして具体的に何をどう集めれば効率的なのかが分かれば、この「書類の山」も攻略可能です。2026年現在のトレンドも踏まえながら、わかりやすく解説していきます。
なぜ法人だと「役員全員分」が必要なの?警察が見ているポイント
そもそも、なぜ警察(公安委員会)は、現場にいない役員の書類まで欲しがるのでしょうか?
一言でいうと、古物営業法という法律が、「会社という組織そのものがクリーンであること」を求めているからです。
古物商の許可というのは、実は結構「信頼」の上に成り立っている資格です。盗品が市場に流れるのを防ぎ、もし流れてしまったらすぐに警察に協力する……そんな役割を担うわけですから、許可を出す側としては、「怪しい人が一人でも混ざっている会社に許可は出せない」というスタンスなんです。
たとえ代表者が立派な人でも、役員の中に一人でも「欠格事由(許可を与えられないNG条件)」に該当する人がいたら、その会社全体がアウト。これが古物営業法の厳しいルールです。
一般的なイメージでは、「実際に中古車を売買する担当者だけチェックすればいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、法律的には「経営に関与する立場の人全員」がチェックの対象なんですね。
そもそも「役員」ってどこまで?監査役や非常勤も含まれるの?
ここでよくある質問が、「どこまでの人を役員と呼ぶのか」という問題です。
結論から言うと、「履歴事項全部証明書(会社の登記簿)」に役員として名前が載っている人は、原則として全員分の書類が必要です。
- 代表取締役・取締役
もちろん必須です。 - 非常勤の取締役
名前が載っている以上、必要です。 - 監査役
ここが間違いやすいのですが、監査役も必須です(多くの都道府県警で対象)。
「監査役は業務をチェックするだけで、古物の売買には関わらないからいらないでしょ?」というお声をよく聞きます。確かにそう思うのも無理はありません。ですが、今のところ日本の警察の運用では、監査役も「欠格事由に該当しないか」を確認する対象にバッチリ含まれています。
2026年現在、コンプライアンスへの意識が高まっており、多くの都道府県警で『登記されている役員(監査役含む)なのに書類が出ていない』と申請自体が受理されないケースがほとんどです。ただし、管轄の警察署・都道府県警の運用で差があるため、事前確認を。
まずは会社の登記簿を最新の状態で取得して、「誰が役員になっているか」を改めて確認することから始めましょう。
役員一人ひとりに必要な「4種の神器」
さて、いよいよ本題の書類の中身です。役員さん一人ひとりに用意してもらう書類は、主に以下の4つ。これを私たちは「4種の神器」なんて呼んだりします。
① 住民票(本籍地記載、マイナンバー省略)
一番馴染みがある書類ですが、注意点が2つあります。 一つは、必ず「本籍地」が記載されているものを取ること。もう一つは、「マイナンバー」は絶対に載せない(省略する)ことです。 最近はマイナンバーカードでコンビニ交付もできますが、設定を間違えると警察で「これ、マイナンバーが入ってるから受け取れません!」と突き返されてしまうので注意してくださいね。
② 身分証明書(本籍地の役所で取るアレ)
これが最も勘違いされやすい書類です!「免許証のコピーでいいですか?」と聞かれることが多いのですが、全く別物です。 この「身分証明書」とは、その人の本籍地がある市区町村役場が発行する、「破産者ではない」「成年被後見人ではない」といったことを証明する公的な書類なんです。 本籍地が遠くにある役員さんの場合、郵送で取り寄せなければならないので、早めに動くのがコツですよ。
③ 誓約書
「私は古物営業法で決められたダメな条件(欠格事由)に当てはまりません」と約束する書類です。 警察署に行けば用紙がもらえますし、各都道府県警察のホームページからもダウンロードできます。2026年現在は、一部の書式がより現代的な表現に微修正されている場合もあるので、古い使い回しのテンプレートではなく、最新のものを使うようにしましょう。
④ 略歴書(過去5年分の履歴)
いわゆる職務経歴書のようなものですが、もっとシンプルで大丈夫です。「最近5年間、どこで何をしていたか」を空白期間がないように記入します。 「3ヶ月間、転職活動で無職だった」という期間があれば、正直に「求職中」と書けばOKです。警察が知りたいのは、「その期間に悪いことをして刑務所に入っていたりしなかったか」という点なワケですから。
【2026年最新】最近の審査トレンドと「デジタル化」の波
2026年現在、行政手続きのデジタル化が進んでいます。「GビズID」などを使ったオンライン申請も少しずつ普及してきましたが、古物商許可の現場は、多くの都道府県でまだ『紙・対面』が主流です。地域差が大きいのでこちらも管轄警察にご確認を。
ただ、審査の内容については少しずつ変化が見られます。
最近のトレンドとしては、「実態があるかどうか」がより厳しく見られるようになっています。特に役員が複数いる法人の場合、「形だけの会社ではないか」「名義貸しではないか」という点を、書類の整合性からチェックされます。
また、役員の略歴書についても、以前よりもしっかりと内容を確認される傾向にあります。もし過去に少しでも古物営業に関連する仕事(リユースショップの店長など)をしていた役員がいる場合は、その経歴をしっかり書いておくと、「業界を分かっている人が経営陣にいるんだな」とプラスの印象を持たれることもありますよ。
それと、最近はマイナンバーカードを活用した「電子署名」による申請を検討する自治体も増えていますが、地域によって運用のスピード感が全く違います。
事例①「役員が10人もいる!」スタートアップ企業が陥った書類収集の罠
ここで、実際によくあるケースをご紹介しましょう。 都内の勢いのあるスタートアップ企業、A社さんの事例です。
A社さんは事業拡大に伴い、投資家や外部アドバイザーを役員(取締役)として数多く迎え入れていました。その数、なんと10名!さらに、本籍地が北海道から沖縄までバラバラ……という状況でした。
担当者の方は、「みんな忙しい人たちだから、早めに書類をお願いしなきゃ」と、3ヶ月前からコツコツと書類を集め始めました。
ところが、これが落とし穴だったんです。 ようやく10人分が揃って警察署へ持っていったところ、窓口でこう言われました。
「あー、最初の方に取った役員さんの住民票、発行から3ヶ月過ぎちゃってますね。これだと受け取れません」
これはショックですよね。 古物商許可の書類には、原則として「発行から3ヶ月以内」という有効期限があります。役員が多い場合、最初の一人が取ってから最後の一人が取るまでに時間がかかりすぎると、パズルのピースが揃った瞬間に、最初のピースが期限切れになってしまうんです。
役員が多い会社さんは、「一気に集めて一気に申請する」という短期集中型の戦略が必須です。
事例②「昔、ちょっと…」過去の罰金歴がある役員がいる場合はどうする?
次にご紹介するのは、運送業を営むB社さんのケースです。 新しい事業の柱として中古トラックの売買を始めることになり、古物商許可を申請することになりました。
書類を集める段階になって、一人の取締役の方が青い顔をして代表に相談に来たんです。 「実は私、3年前にスピード違反で捕まって、罰金を払ったことがあるんです。これがあると、会社は許可が取れないんでしょうか……」
これ、実はめちゃくちゃ多いご不安なんです。 結論から言うと、一般的な道路交通法違反(スピード違反・駐車違反等)の罰金刑であれば、通常古物商許可に影響しません。ただし、内容によっては罰金刑でも欠格事由に該当する可能性があるため、詳細は管轄警察や専門家にご確認を。
許可が取れなくなる(欠格事由に該当する)のは、主に以下のようなケースです。
- 古物営業法違反で罰金刑を受けた
- 窃盗や強盗、背任、盗品譲受けなどの罪で罰金刑を受けた
- どんな罪であれ、「禁錮刑(刑務所に入る、または執行猶予)」以上の刑を受けた
もし役員の中に「昔、ちょっとしたことがあった」と心配している方がいたら、一人で悩まず、一度私たちのような専門家に相談してみてください。
申請前に絶対チェックすべき3つの注意点
書類が揃った!よし警察へ行こう!となる前に、以下の3点だけは絶対にチェックしてください。ここを間違えると、警察の窓口で「出直し」を食らうことになります。
① 登記簿と住民票の表記が1文字でも違わないか
これは本当によくあります。 例えば、登記簿では「3丁目1番2号」となっているのに、住民票では「3-1-2」となっている……といった微妙な違いです。
2026年現在の運用でも、多くの警察署において不一致は厳しくチェックされます。もし違っている場合は、今のうちに登記を直すか、あるいは「同一人物に間違いありません」という説明が必要になります。
② 「管理者」は誰にするか?
法人の場合、役員とは別に「管理者(現場の責任者)」を立てる必要があります。役員の中の誰かが管理者を兼ねる場合、住民票・身分証明書・略歴書は各1通で足りますが、管理者用誓約書は役員用と別に必要です(多くの都道府県警でこの運用)。管轄警察のローカルルールでご確認を。 「役員書類が揃ったからOK!」ではなく、管理者としての書類も忘れないこともポイントです。
③ 都道府県警・警察署ごとの「ローカルルール」
古物商許可は、窓口となる警察署によって、微妙に「求められる追加書類」が違うことがあります。
例えば組織図提出を求める署もあれば不要な署もあり、2026年現在も差があります。事前に管轄の警察署へ電話一本入れて確認しておくのが、結局のところ一番の近道です。
一発合格のために、一番大切なこと
法人の古物商許可申請において、役員全員の書類を集めるのは確かに大変です。 でも、その書類の一つひとつは、これからあなたの会社が「警察からお墨付きをもらった、信頼できる企業」としてスタートするための大切な証拠品でもあります。
書類を揃えるのはあくまで手段。目的は、一日も早くビジネスをスタートさせ、利益を上げることですよね。 もし、「書類集めに時間を取られて、本来の仕事が手に付かない!」「役員にどう説明して書類をもらえばいいか分からない!」と立ち止まってしまったら、ぜひプロの力を頼ってください。
自分たちで試行錯誤して何度も警察署を往復する時間(そしてストレス)を考えれば、専門家に任せてしまうのが、経営判断として最もコスパが良いことも多いんです。
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ただ、「実は役員にこういう事情があるんだけど、どう書けば審査に通る?」「うちの複雑な組織構成だと、どんな書類が必要か具体的にリストアップしてほしい」といった、「うちの場合」に踏み込んだ個別の具体的なご相談については、有料(30分 4,000円〜)でじっくりとお話を伺っています。
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次は、あなたの会社の「役員構成」をチェックしてみませんか? もしよろしければ、現在登記されている役員さんの人数や、管理者に予定されている方の状況を教えてください。今すぐ集めるべき書類の優先順位をアドバイスさせていただきます。

