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「申請すれば通る」と思っていませんか?――意外と多い“欠格事由”の落とし穴
中古品を販売するために「古物商許可」を取ろうとした人が、思わぬ形で“門前払い”になるケースがあります。
しかも、それは書類の不備や添付漏れではなく、「欠格事由(けっかくじゆう)」に該当していたから――というパターンです。
「欠格事由」とは、法律上“この条件に当てはまる人には許可を出せません”という、いわば不許可のリストのようなもの。
ところが、申請を出す側は意外とこの部分を軽く見てしまいがちです。
「犯罪歴なんてないから関係ない」「法人にしたから大丈夫」と思っていたのに、いざ申請すると“代表者以外の役員”が対象で不許可になった、という事例も少なくありません。
特に最近は、メルカリやラクマなどのフリマアプリで副業的に中古品を販売する人が増えています。
リユースやサステナブルという言葉が広まり、「自分も環境意識をもって中古ビジネスを始めたい」と考える人も多いでしょう。
しかし、手続きの簡単さに比べて、法律の審査は意外と厳密。
警察署(生活安全課)が行う審査では、過去の記録や身分証明書の内容、破産の有無、刑事事件の経歴などが細かくチェックされます。
市川や船橋、松戸といった地域でも、ここ1〜2年で古物商許可の申請件数が増加しています。
中古車・中古家電・ブランド品の取り扱いを始めたいという相談が多い一方、欠格事由を見落としたために「申請を一からやり直し」となるケースも。
たとえば、代表者本人は問題がなくても、登記簿上の役員に破産手続中の人がいたり、身分証明書の取得元を間違えていたりといった“うっかりミス”が原因です。
もちろん、欠格事由に該当していたからといって、必ずしもビジネスを諦める必要はありません。
状況によっては一定期間の経過や再申請によって許可を得られる場合もあります。
ただし、「知らなかった」では済まされません。
事前に確認しておくことで、手間や時間、そして信用を守ることができるのです。
次章では、「そもそも欠格事由とはどんなものなのか?」を具体的に見ていきましょう。
思い込みで判断する前に、一度リストをチェックしておくことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
古物商許可の「欠格事由」とは?知らないと損するチェックポイント
そもそも「欠格事由」とは何か
古物商許可の申請をするとき、最も重要なのが「欠格事由に該当しないこと」です。
これは、古物営業法第4条で定められており、申請者が一定の条件に当てはまると、警察署(生活安全課)は法律上、許可を出せません。
つまり「誤魔化しようのない、絶対的な不許可理由」です。
たとえば以下のようなケースが代表的です。
- 破産手続中で、まだ復権していない人
- 禁固以上の刑に処せられ、5年経過していない人
- 成年被後見人や被保佐人
- 古物営業の許可を取り消されてから5年経過していない人
- 暴力団関係者、またはその関係があると認められる人
いずれも「法律に触れた」「社会的信用を欠く」と判断される状況です。
言い換えれば、“中古品の売買を安心して任せられるかどうか”が審査の本質です。
法人申請の場合は「役員全員」が対象
個人で申請する場合は本人の状況だけで済みますが、法人の場合は注意が必要です。
審査対象は代表者だけでなく、役員全員。
つまり、会社登記に名を連ねているすべての人の身分証明書・登記記録などがチェックされます。
実際、松戸市での申請例では、取締役の一人が過去に交通関係の罰金刑を受けていたことが後に判明し、審査がストップした事例がありました。
罰金刑や執行猶予の期間も確認されるため、「軽い違反だから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
また、書類上は関係が薄く見える相談役・監査役なども、実質的な経営関与があれば確認対象になることがあります。
特に中古車販売や中古家電のように高額商品を扱う業種では、警察の審査がより慎重になる傾向があります。
「身分証明書」はただの本人確認書類ではない
欠格事由の確認において、よく誤解されるのが「身分証明書」という言葉です。
ここで言う身分証明書とは、運転免許証やマイナンバーカードではなく、本籍地の市区町村役場で発行される公的証明書のこと。
内容には以下の項目が記載されます。
- 破産宣告を受けていないこと
- 成年被後見・被保佐・被補助の審判を受けていないこと
- 禁治産・準禁治産の宣告を受けていないこと(旧用語)
この書類を省略したり、住民票の住所地で発行してしまうと、審査が通らない原因になります。
とくに市川市や船橋市などでは、手続きに慣れていない窓口担当者が誤って“違う証明書”を交付するケースもあるため、発行前に「古物商許可の申請用です」と伝えると安心です。
欠格事由を見落とすとどうなるか
もし欠格事由に該当していることが発覚すると、警察署から「不許可通知書」が届きます。
これは再提出では済まず、一度申請が却下された扱いになります。
再申請する場合も、原因を解消してから一定期間を経る必要があるため、結果的に「開業の遅れ」「信用低下」「無駄な費用負担」につながります。
申請者の中には「形式上、誰かの名前を代表にして申請すればいい」と考える人もいますが、これは明確な違法行為となり、将来的な取消処分の対象です。
まずは欠格事由の仕組みを理解し、書類の意味を正しく捉えることがトラブル防止の第一歩です。
なぜ見落としが起きるのか――申請前によくある3つの勘違い
勘違い①「住民票や身分証明書は形式的な書類」
古物商許可の申請では、本人確認や資格確認のために多くの書類を提出します。
その中でも「住民票」と「身分証明書」は、最も基本的で重要な書類です。
しかし、ここでの“身分証明書”を単なる身分証のコピーと勘違いする人が多く、トラブルの原因になります。
本来、提出が求められているのは、本籍地の市区町村役場で発行される「身分証明書(法律上の資格証明)」です。
これには「破産・禁治産・後見開始などの有無」が明記され、まさに欠格事由の有無を確認するための書類。
この理解がないまま、運転免許証やマイナンバーカードのコピーを出してしまうと、「そもそも申請要件を満たしていない」として受理されません。
市川市や船橋市などでもこの誤解は多く、「身分証明書を勘違いして差し戻し」という相談がよく寄せられています。
勘違い②「過去の罰金刑くらい大したことない」
もうひとつ多いのが、“昔の軽い罰金だから大丈夫”という思い込みです。
たとえば、10年前の交通違反や軽微な事件などを「もう時効だろう」と判断して申請してしまうケース。
しかし、古物営業法では「禁固以上の刑を受け、5年を経過していない」場合に該当すれば、不許可の対象です。
さらに、暴力行為や窃盗など古物取引の信用に関わる行為は、軽い罰金でも警察の判断で慎重審査になります。
実際、松戸市で中古家電のリユースショップを立ち上げようとした方が、過去の略式命令による罰金を申告せずに申請し、審査の途中で発覚して手続きが中断した例があります。
「もう昔の話だから」と考えるのではなく、どんな軽微な経歴でも正直に相談・申告しておくのが安全です。
勘違い③「法人なら代表者だけ見ればいい」
法人申請では、会社の代表者だけでなく役員全員が欠格事由の対象になります。
これは法律上の明確なルールであり、たとえ代表が健全でも、役員の一人に欠格事由があると会社全体が不許可になることがあります。
とくに注意したいのは、「家族経営」や「知人を名義上の役員にしている」ケース。
たとえば、船橋市で中古車販売の会社を設立した方が、実務には関わらない親族を取締役にしていたところ、その親族が破産手続中だったために許可が下りなかったという例もあります。
役員を登記するときは、信用情報も含めたリスク確認を行うことが大切です。
「とりあえず名前だけ貸してもらう」は絶対に避けましょう。
あとから登記変更をしても、許可申請のタイミングで不備があると再審査に数ヶ月かかることもあります。
小さな思い込みが「不許可通知」につながる
欠格事由の見落としは、悪意や不正よりも“思い込み”から起こるケースが大半です。
申請書や添付書類は単なる形式ではなく、「信用の証明」として扱われます。
中古品ビジネスやメルカリ副業などで気軽に申請しても、根本的な理解が不足していると不許可のリスクは避けられません。
次章では、こうしたトラブルを未然に防ぐために、申請前に実践できる「3つの確認ポイント」を紹介します。
ここまでの知識を踏まえて、実際にどう準備すれば安心なのかを整理していきましょう。
トラブルを防ぐための3つの対策――申請前にこれだけは確認を
欠格事由を理解していても、うっかり見落としてしまうことは誰にでもあります。
しかし、事前のチェックさえしっかり行えば、ほとんどのトラブルは未然に防げます。
ここでは、申請前に押さえておきたい「3つの確認ポイント」を紹介します。
① 書類の発行元と内容を正確に理解する
まず大切なのは、「どの書類を、どこで発行すべきか」を正しく理解することです。
古物商許可の申請では、本籍地の役所で発行される身分証明書が必須になります。
これは運転免許証などのコピーでは代替できません。
たとえば、船橋市に住んでいても本籍地が市川市の場合、市川市役所で発行を受ける必要があります。
この点を勘違いして「住民票の住所地で取ってきた」と言って差し戻しになる方が非常に多いです。
また、身分証明書と同時に必要な登記されていないことの証明書(東京法務局などで取得)も、欠格事由の確認に関わる重要書類です。
いずれも「形式的に提出するもの」ではなく、過去の法的制限がないことを示す根拠資料です。
意味を理解して提出するだけで、審査担当者の印象も大きく変わります。
② 共同経営者・役員全員の状況を事前確認する
法人で申請する場合は、代表者だけでなく役員全員が審査対象になります。
これは、古物営業法が「会社としての信用」を重視しているためです。
市川・松戸エリアでは、家族や親族を形式的に役員にしている小規模法人が多く見られます。
ところが、役員の中に破産手続中や禁固刑の経歴がある場合、会社全体が欠格事由に該当します。
申請前に、
- 役員全員の「身分証明書」
- 「登記されていないことの証明書」
を取得して、事前確認しておきましょう。
この確認を怠ると、あとから判明して申請がストップし、再申請に数週間~数ヶ月かかることもあります。
役員変更は登記後も警察に報告が必要なため、「誰を登記するか」は許可取得の段階から慎重に決めるのが鉄則です。
③ 不安があれば専門家に早めに相談する
「欠格事由に当たるかもしれない」「過去の経歴をどう説明したらいいかわからない」
――そんなときは、早めに専門家に相談するのが最善です。
行政書士などの専門家は、警察署との事前協議や書類確認を代行し、申請内容を整理してくれます。
自分で直接警察に相談することも可能ですが、言い方や伝え方を間違えると、「該当する可能性あり」と判断されてしまうこともあります。
特に、中古車・中古家電・ブランド品など高額商品を扱う業種では、審査が慎重になる傾向があります。
また、近年はECビジネスの拡大により、市川・船橋・松戸といった都市部でも申請が集中しており、審査期間が長くなっている地域もあります。
不安を感じたら、「早めに確認・早めに相談」が鉄則。
準備の段階からチェックリストを作っておくことで、時間もリスクも大幅に減らせます。
申請の“成功率”は準備で決まる
欠格事由を理解し、必要書類を正確に揃える。
この2つができれば、古物商許可の申請はスムーズに進みます。
逆に、準備を省略したり、確認を後回しにすると、どんなに善意であっても不許可になる可能性があります。
次章では、ここまでの内容を踏まえて「責任あるリユース事業」をどう始めるか――
サステナブル時代における“信頼される古物商”の姿を一緒に考えていきましょう。
サステナブル時代の“責任あるリユース”を始めよう
正しい知識があなたの信頼をつくる
古物商許可は、単なる「営業の免許」ではありません。
中古品を扱う以上、社会からの信用を得るためのスタート地点です。
欠格事由を理解せずに申請して不許可になった場合、「信用を失う」「二度と申請できない期間が生じる」など、取り返しのつかない結果になることもあります。
逆に言えば、欠格事由を正しく理解し、丁寧に書類を整えることで、あなたの事業は信頼性の高いビジネスとして見てもらえます。
特に、メルカリなどで副業的に始める人が増えている今こそ、「しっかりとした手続きで始めた」という事実が、周囲への安心感につながるのです。
中古車や中古家電、アパレルなど、取り扱う商品ジャンルは違っても、信頼を土台にした商売は強い。
法令順守と丁寧な対応こそが、リピーターを増やす最大の武器になります。
サステナブルな時代に求められる“責任あるリユース”
ここ数年、円安の影響もあり、国内の中古品市場はかつてない活況を見せています。
一方で、取引トラブルや不正転売の問題も増え、行政は古物営業者により高い倫理性と透明性を求めるようになりました。
つまり今は、「儲かればいい」ではなく、“社会的責任を果たすリユース事業者”が評価される時代。
サステナブル(持続可能)な社会づくりに貢献できるかどうかが、古物商にも問われています。
たとえば、市川や船橋、松戸の地域でも、環境意識の高まりに合わせて、中古品の再利用・再販を通じた地域循環型ビジネスが注目されています。
法令を守り、安心して取引できる環境をつくることが、事業の成長と地域貢献の両立につながります。
行動することが、第一歩になる
「欠格事由」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、やるべきことはシンプルです。
- 書類を正しく理解して揃える
- 自分と役員全員の状況を確認する
- 不安があれば専門家に相談する
この3つを実行すれば、許可取得のハードルは確実に下がります。
準備段階でつまずかないためにも、“早めに動く”ことが最大のリスク対策です。
信頼を積み重ねる古物商へ
古物商許可を得るということは、「信頼を得る資格を持つ」ということです。
サステナブル社会のなかで、中古品の流通はますます重要になります。
その中心にいるあなた自身が、安心と信用を届ける存在であってほしい――
それが、これからの古物ビジネスに求められる姿勢です。
市川・船橋・松戸などでリユース事業を考えている方は、地域に根ざした行政書士や専門家に相談しながら、着実な一歩を踏み出していきましょう。
小さな慎重さが、大きな信頼を生む第一歩になります。