「古物商許可申請書」の書き方と記入時の注意点

「古物商許可申請書」の書き方と記入時の注意点

中古ビジネスを始めたい人の最初のハードル「古物商許可」

「メルカリで副業を始めたい」「中古家電や中古車を扱ったリユース事業をしてみたい」──そんな思いを持ったとき、最初にぶつかるのが古物商許可という壁です。

ネット上で「許可がないと違法」と書かれているのを見て不安になった方も多いのではないでしょうか。実はこの許可、単なる“お役所の手続き”というよりも、中古ビジネスを安心して始めるためのスタートラインなのです。

許可が必要なケース・不要なケース

たとえば、

  • 自分の家にある不要品をメルカリで売るだけなら許可不要。
  • でも、中古家電を仕入れて販売する、中古車を業として回す、ブランド品を転売する──こうした「継続的に利益を出すための売買」は、古物商許可が必須です。

つまり「自分で使っていたものを処分する」か、「仕入れて販売するか」で判断が分かれます。

許可を取らないとどうなる?

「ちょっとした副業だから大丈夫でしょ」と軽く考えて無許可営業をすると、実は3年以下の懲役または100万円以下の罰金という重い処分を受ける可能性があります。中古ビジネスを始めるなら、ここは避けて通れません。

古物商許可はリスク回避と信用の第一歩

逆に言えば、許可を取得することで「きちんとルールを守っています」と示せるのもポイントです。
最近では環境意識の高まりや円安による物価高を背景に、中古市場は大きく伸びています。リユース・サステナブルの流れにのって活動するには、古物商許可は避けて通れない、むしろ武器になる手続きといえるでしょう。

古物商許可申請書の全体像と流れをつかもう

「古物商許可って必要なのはわかったけど、具体的にどう動けばいいの?」──そんな声に応えるために、まずは全体の流れをざっくり押さえておきましょう。
ポイントは、「書類を集めて」「警察署に提出して」「審査を待つ」という3ステップです。

申請先はどこ?

古物商許可の申請は、営業所の所在地を管轄する警察署が窓口になります。
ただし、受理や審査を行うのは都道府県の公安委員会なので、警察署はあくまで受付のイメージです。
「どこに持っていけばいいの?」と迷ったら、まずは近くの警察署生活安全課に問い合わせるのが早道です。

必要な書類の一覧

申請書自体は警察署や自治体のHPから入手できますが、それだけでは足りません。主な添付書類は以下のとおりです。

  • 住民票(マイナンバー記載なし)
  • 身分証明書(本籍地の市区町村で発行)
  • 略歴書(過去の職歴を記載)
  • 誓約書(欠格事由に当てはまらないことの宣誓)
  • 営業所の賃貸借契約書や使用承諾書
  • 法人の場合は定款・登記事項証明書

「住民票と身分証明書は役所」「略歴書や誓約書は自分で記入」「賃貸契約書は不動産会社」など、準備先がバラバラなので、ここで時間を食いやすいのが落とし穴です。

申請の流れ

手続きはおおまかに以下の流れで進みます。

  1. 書類を準備する(目安:1〜2週間)
  2. 管轄警察署に申請書を提出(申請手数料:19,000円前後)
  3. 警察署での書類チェック・面談
  4. 公安委員会による審査(標準処理期間:約40日)
  5. 許可証が交付される

「40日」と書かれていますが、繁忙期や書類不備があるとさらに延びることも。副業や小さなリユース事業でも、早めに準備を始めることが成功のカギです。

申請書の書き方でつまずきやすいポイント

申請書自体はフォーマットが決まっていて、一見すると「書くだけだから簡単そう」と思うかもしれません。
ところが、意外と細かい点でつまずきやすく、結果として「補正してください」と警察署から呼び出されるケースも少なくありません。ここでは代表的な注意点を紹介します。

営業所の所在地・管理者の記入欄

営業所欄には、実際に事務所として使用する場所の住所を記入します。

  • 賃貸マンションを使う場合 → 契約書上「住居用」となっていても、オーナーが営業利用を認めていなければ不可。
  • シェアオフィスやバーチャルオフィス → 原則として不可。警察が立入確認できないからです。

また、営業所ごとに古物営業管理者を選任し、氏名を記載する必要があります。副業だからといって「管理者なし」では認められません。

取り扱う古物の区分

申請書には「取り扱う古物の区分」を記載する欄があります。
ここを適当に「古物全般」としてしまうとNG。

  • 中古家電を扱うなら「機械工具類」
  • 中古車を扱うなら「自動車」
  • ブランドバッグなら「衣類」「道具類」

など、実際のビジネスに沿って正確に選ぶ必要があります。後から区分追加もできますが、二度手間になるので最初からしっかり決めましょう。

略歴書・誓約書の落とし穴

略歴書には、過去10年の職歴を漏れなく記載します。アルバイト経験でも空白があると「不備」とされることがあります。
誓約書は「禁固以上の刑を受けていない」など、欠格事由に当てはまらないことを宣誓する重要な書類。ここに虚偽記載があると許可取り消しにつながります。

よくあるNG例

  • 住所を番地まで正確に書かず返戻になる
  • 取り扱う古物区分を「雑貨」で済ませてしまう
  • 略歴書の空白期間を放置する
  • 添付書類の有効期限(発行から3か月以内)を過ぎてしまう

こうした小さなミスで申請全体がストップしてしまうのはもったいないですよね。「申請書=自分のビジネスの名刺」くらいの気持ちで、丁寧に仕上げるのがおすすめです。

許可申請をスムーズに進める3つのポイント

古物商許可の申請は、必要な書類さえそろえば難しいものではありません。
ただし、初めての方ほど「準備不足で時間がかかる」「書類不備で差し戻される」といったつまずきが起こりがちです。
そこで、申請をスムーズに進めるためのポイントを3つに整理しました。

ポイント1:余裕を持ったスケジュールで準備する

申請書類は、役所・本籍地・不動産会社など、複数の窓口で発行するものが多く、1〜2日で全部そろうわけではありません。
特に繁忙期は審査が立て込み、標準処理期間40日が60日近くに延びることもあります。
「副業を始めるタイミングに間に合わせたい」と思ったら、逆算して少なくとも2か月前には準備を開始しておきましょう。

ポイント2:取り扱う古物ジャンルを最初に決める

「とりあえず申請して、あとで考えよう」という方もいますが、実際には古物区分を後から追加するのは二度手間です。

  • メルカリ副業なら「衣類」「道具類」
  • 中古家電なら「機械工具類」
  • 中古車なら「自動車」

自分のビジネスがどの方向を向いているのか、最初にきちんと定めてから書くことが大切です。
また「リユース」「サステナブル」といった社会的意義を意識しておくと、ブランディングにもつながります。

ポイント3:副業で「事業者」の意識を持つ

古物商許可を取得すると、あなたは法律上「事業者」として扱われます。

  • 帳簿の備え付け(仕入れ・販売の記録)
  • 警察署による立入検査への対応
  • 営業所の適正な管理

これらは副業か専業かにかかわらず義務です。
「お小遣い稼ぎだから…」という感覚のままだと、後で思わぬトラブルに発展しかねません。
副業であっても、「小さくてもちゃんとした商売」と考えるのが、結果的に安心・安全な運営につながります。

環境意識とビジネスを両立するリユースの未来

古物商許可は単なる「法律上の手続き」ではありません。
実は、これからの社会で大きな意味を持つ リユース・サステナブルの流れ としっかり結びついています。

中古市場は拡大中

円安や物価高の影響で、今や「新品より中古を選ぶ」人が増えています。
特にメルカリなどのフリマアプリ、中古家電、中古車といった分野は、需要が右肩上がり。
「安いから買う」だけでなく、「環境にやさしい選択をしたい」という意識も広がってきました。

許可を取ることが信頼の証になる

「古物商許可を持っている」というだけで、取引相手に安心感を与えられます。
これは副業でも同じで、メルカリのプロフィールに「古物商許可あり」と書くだけで、購入者の信頼度が変わります。
リユースを“ビジネスとしてきちんとやる人”と見てもらえるわけです。

サステナブルな社会に参加する一歩

中古品を扱うことは、廃棄を減らし資源を循環させる行動です。
古物商許可を取ることは、「小さな副業」ではなく、社会にプラスの影響を与える活動につながります。
「どうせ売るなら環境にやさしい形で」「持続可能な暮らしに貢献する」という意識が、これからの時代に合ったビジネスのあり方といえるでしょう。