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「ちょっと貸しただけ」が大問題?名義貸しの落とし穴
「メルカリで中古の家電を売りたいけど、古物商許可って必要なのかな?」
「自分はまだ許可を持っていないけど、友人が持ってるから名前を借りればいいか」
こんな発想をしたことはありませんか。
副業や小規模なリユースビジネスを始める人の中には、「名義を借りる」ことで簡単に解決できると思ってしまう方が少なくありません。とくにメルカリのように誰でも出品できるサービスでは、ルールが曖昧に感じられがちです。
しかしここに、大きな落とし穴があります。
古物営業法では、「名義貸し」は明確に禁止されています。名義を貸す人も借りる人も、どちらも違反者として扱われる可能性があるのです。しかも違反と見なされた場合、単なる注意では済まず「許可取消し」や「営業停止」といった厳しい行政処分につながることがあります。
「えっ、そんな大げさな…」と思うかもしれません。
でも実際に行政処分を受けた事例は存在します。名義貸しは「軽い抜け道」どころか、ビジネスそのものを失うリスクに直結する行為なのです。
たとえば、中古車や中古家電の取引で「友人の名前を使った」ケース。本人は「ちょっと貸してもらっただけ」のつもりでも、行政から見れば責任の所在が不明確となり、社会的にも大きな問題になります。
特に最近はリユース市場が拡大し、環境意識の高まりや円安の影響で中古品の需要が一層高まっています。だからこそ警察や自治体も監視を強めており、名義貸しは「見逃されにくい」状況になっているのです。
この章ではまず、「やりがちな名義貸し」がいかに危ないかを押さえておきましょう。次章では、実際に行政処分を受けた事業者のケースを紹介します。
実際に起きた行政処分の事例
「名義貸しなんて、自分には関係ない」――そう思う方もいるかもしれません。
でも実際に、名義貸しが原因で行政処分を受けた事業者は存在します。ここではその流れを分かりやすく追ってみましょう。
名義貸しと判断された背景
ある中古家電のネット販売を行っていた事業者は、古物商許可を持っていませんでした。そこで知人から「自分の許可を使えば大丈夫だよ」と言われ、名前を借りて事業をスタート。
本人は「これなら安心」と思っていましたが、取引を続けるうちにトラブルが発生します。
顧客からのクレームや、商品の出どころに関する警察からの照会で、「実際の経営者」と「許可証の名義人」が一致していないことが発覚。ここで「名義貸し」と判断されました。
行政処分の内容
警察や都道府県の公安委員会は、名義貸しを厳しく取り締まります。
このケースでは、許可証を貸していた側の知人は「古物商許可取消し」となり、貸してもらっていた事業者は「営業停止命令」を受けました。
つまり、借りた人だけでなく、貸した人も同じように処分対象になるということです。これは「ちょっとした善意」のつもりでも、結果的に双方にとって大きなダメージを与えることになります。
処分後の影響
処分を受けるとどうなるのでしょうか。
- メルカリや他のフリマアプリでのアカウント利用が制限される
- 中古家電や中古車の仕入れルートが絶たれる
- 顧客や取引先からの信用を一気に失う
一度「違反者」として扱われると、その後のビジネス再開は極めて困難です。せっかく築いた販売ルートや顧客も手放さざるを得なくなり、副業どころか生活そのものに影響を及ぼす場合もあります。
古物商許可制度の基本をやさしく解説
名義貸しがダメなのは分かったけれど、そもそも「古物商許可」って何のためにあるのでしょうか。ここを押さえると、なぜ厳しいルールが設けられているのかがスッと理解できます。
なぜ古物商許可が必要なのか
古物営業法の目的はシンプルです。
盗品の流通を防ぐこと、そして取引の透明性を確保すること。
たとえば、中古家電や中古車が盗品だった場合、持ち主が泣き寝入りすることになりかねません。そこで「古物商許可」を受けた事業者が本人確認や帳簿管理を徹底することで、犯罪の温床にならないように仕組みを作っているのです。
つまり許可制度は、安心してリユースやサステナブルな取引を楽しむための土台でもあるのです。
名義貸しが禁止されている理由
「名義貸し」が禁止されているのは、責任の所在が不明確になるからです。
- 実際に取引をしているのはAさん
- 許可証を持っているのはBさん
こんな状態では、問題が起きたときに「誰が責任を取るのか」がはっきりしません。結果として、警察も顧客も安心できない仕組みになってしまうのです。
このため法律では「名義を貸した人」も「借りた人」も同じように処分対象になる、と明確に規定されています。
メルカリやリユース市場との関係
最近はメルカリをはじめとしたフリマアプリやECビジネスが広がり、誰でも気軽に中古品を売買できるようになりました。環境意識の高まりや円安の影響で「国内のリユース需要」もますます伸びています。
だからこそ、「ちょっとした副業」でも法律を守ることが強く求められる時代になっているのです。
サステナブルな社会づくりに貢献しながら安心して活動するためには、名義を借りずに自分自身で古物商許可を取得することが大前提だといえます。
トラブルを避けるための3つの行動ポイント
「名義貸しがダメなのは分かったけど、結局どうすれば安心して始められるの?」
ここでは、中古家電や中古車、さらにはメルカリ副業を考えている人がすぐに取り組める行動を3つに絞ってご紹介します。
1. 自分で古物商許可を取る
いちばん確実な方法は、自分自身で古物商許可を取得することです。
許可を取る流れは意外とシンプルで、
- 管轄の警察署で申請書類を入手
- 必要書類(住民票や身分証明書、事務所の使用権限を示す資料など)を揃える
- 公安委員会に提出して審査を受ける
といった手順を踏むだけです。書類の量や記載内容が少しややこしい部分もありますが、ポイントを押さえれば難しいものではありません。
2. 名義を貸さない・借りない
副業仲間や知人に「ちょっと名前を貸してよ」と頼まれたり、自分が頼みたくなったりすることもあるかもしれません。ですがこれは絶対に避けるべきです。
たとえ善意でも「違反」とみなされ、双方ともに処分対象になります。
小さなつまずきが、ビジネス全体を壊しかねない。そう考えて、「貸さない・借りない」を徹底しましょう。
3. 取り扱う品目を明確にしてルールを守る
中古家電、中古車、ブランド品、衣類…リユース市場にはさまざまな品目があります。許可を取ったら、自分が扱う品目をしっかり把握し、帳簿管理や本人確認などのルールをきちんと守ることが大切です。
「環境意識が高まっている今こそリユースに挑戦したい」と思うなら、まずは法律を守ることがサステナブルな社会への第一歩です。
まとめと次の一歩
ここまで見てきたように、古物商許可を持たないまま始めたり、名義を借りて事業を行ったりすることは大きなリスクを伴います。
- 名義貸しは法律で禁止されている
- 違反すれば「許可取消し」や「営業停止」などの行政処分につながる
- 信用を失えば、メルカリやECビジネスでの継続は不可能になる
つまり、「ちょっと貸してもらえば大丈夫」という安易な考えは、ビジネスを失うきっかけになりかねないのです。
一方で、自分の名義で古物商許可を取得して正しく運営すれば、安心してリユース市場に参加できるようになります。中古家電や中古車の取引、メルカリでの副業、さらには環境意識を意識したサステナブルなビジネス展開も、堂々と進めることができます。
「副業だから」「小規模だから」こそ、正しい方法で始めることが重要です。許可申請は少し手間がかかるかもしれませんが、その一歩があなたの事業を守り、信頼につながります。
もし「書類の準備や流れが不安」という方は、行政書士に相談するのも有効です。専門家にサポートを受ければ、スムーズに手続きを進められます。
安心・安全に、そして長く続けられるリユースビジネスのために――
ぜひ今日から「自分の名義で正しく許可を取る」という一歩を踏み出してください。