「古物営業法」の基本構造と許可取得に必要な知識とは

「古物営業法」の基本構造と許可取得に必要な知識とは

中古品ビジネスを始めるときに立ちはだかる「壁」

最近はメルカリをはじめとしたフリマアプリやECサイトで、副業として中古品を販売する人が増えています。特に「家にある不要品を片づけてお小遣い稼ぎ」から始まり、慣れてくると中古家電やブランド品、中古車の部品などを仕入れて本格的に販売したいと考える方も少なくありません。

ところが、多くの人が最初につまずくのが 「古物商許可が必要かどうか」 という壁です。

メルカリ副業が人気なのに「許可」が必要な理由

「自分の不要品を売るだけなら大丈夫でしょ?」と思われがちですが、仕入れた商品を販売して利益を得る 場合は「古物営業法」の規制対象になります。つまり、中古品ビジネスを「継続的に行う」なら古物商許可が欠かせません。

特にメルカリのようなフリマアプリは手軽に始められる一方で、警察が摘発や指導に動くケースも増えています。知らなかったでは済まされないのがこの世界の特徴です。

中古家電や中古車は特に注意が必要

たとえば中古のスマートフォンやパソコン、冷蔵庫といった家電は、個人間での需要が高いジャンルです。しかしこれらを仕入れて販売する場合は確実に古物商許可が必要になります。さらに中古車や部品なども同様です。

一方で「古着」や「書籍」なども対象に含まれるため、思った以上に幅広く規制されているのが現実です。

許可を取らずに始めるとどうなる?

「副業だから大したことない」と許可を取らずに販売を続けると、古物営業法違反で罰則 を受けるリスクがあります。最悪の場合、懲役や罰金だけでなく、取引停止やアカウント凍結といった実害にもつながります。

特に最近は、盗品の流通やマネーロンダリングを防ぐ目的で取り締まりが厳しくなっています。円安の影響で海外への転売需要が高まっていることもあり、当局のチェックは年々強化されていると言えるでしょう。

――つまり、「古物商許可」は単なる形式的な手続きではなく、これからリユースビジネスを始めるうえでの 最低限の安心パスポート なのです。

古物営業法ってどんな仕組み?

「古物商許可が必要です」と聞いても、そもそも 古物営業法とは何なのか、ピンと来ない方も多いと思います。実はこの法律は、中古品ビジネスを行ううえでの大前提になるルール。知っておくと安心感がぐっと増します。

「古物」とは具体的に何を指すのか

古物営業法でいう「古物」とは、一度でも使用されたもの、あるいは 新品でも一度人の手に渡ったもの を指します。
たとえば次のような品目が対象です。

  • 中古家電(スマホ、パソコン、冷蔵庫など)
  • 自動車やバイク、中古部品
  • ブランドバッグや時計、宝飾品
  • 衣類、書籍、ゲームソフト

つまり、「新品っぽい」ものであっても、仕入れて再販売するなら古物扱い になる可能性が高いのです。

古物営業法の基本構造をやさしく整理

古物営業法は、ざっくり言えば「盗品の流通を防ぐための法律」です。
中古品の売買は便利な一方で、盗難品が紛れ込みやすいという弱点があります。そこで、取引する側に許可を取り、帳簿をつけ、必要に応じて警察に確認できる仕組みを整えているのです。

  • 許可制:誰でも勝手に商売できるわけではなく、公安委員会の許可が必要
  • 帳簿義務:品物の仕入れ・販売の記録を残すこと
  • 本人確認義務:仕入れ先や売主が誰なのかを確認すること

これらが法律の「三本柱」と言えます。

取り締まり強化と環境意識の高まり

近年はフリマアプリやECビジネスの普及で、個人でも簡単に販売できるようになりました。それに伴い、盗難品の転売や不正流通も社会問題化しています。
そのため警察も「小規模だから大目に見る」という姿勢ではなく、副業レベルでもしっかりルールを守るように と指導を強めています。

一方でリユースやサステナブルへの関心が高まる中、古物営業法は「環境と経済を両立させるためのルール」としての側面も持っています。
つまり、守るべきポイントを押さえれば、むしろ消費者や取引先からの信頼を得るチャンスにもなるのです。

古物商許可を取得するための基礎知識

「古物営業法の仕組みは分かったけど、実際に許可を取るにはどうすればいいの?」という疑問が出てくると思います。ここでは、申請に必要な知識をわかりやすく整理します。

許可申請に必要な要件と書類

古物商許可は、各都道府県の公安委員会(警察署が窓口)に申請します。基本的な流れは次のとおりです。

  1. 申請書の作成
    申請書に事業者情報や営業所の所在地などを記入します。
  2. 必要書類の準備
    • 住民票
    • 身分証明書(本籍地の市区町村で取得する「破産や禁固刑の有無」を証明するもの)
    • 営業所の使用権原を示す書類(賃貸借契約書や建物登記簿など)
    • 略歴書
    • 誓約書
  3. 申請手数料の納付
    1件につき 19,000円(全国一律) が必要です。

書類に不備がなければ、1〜2か月程度で許可証が交付されます。

営業所の実態が求められる理由

よくある誤解が「住所さえ書けば営業所にできる」というものです。
実際には、机や棚といった備品があり、実際に業務を行える環境 が求められます。たとえばワンルームの自宅でも、事務スペースがきちんと区切られていれば認められることもありますが、完全に形だけの場所では許可が下りません。

この「営業所の実態確認」は、許可取得の大きなハードルになりやすい部分です。

欠格要件とよくある落とし穴

古物商許可には「欠格要件」が定められており、これに当てはまると申請しても許可はおりません。代表的なものは以下のとおりです。

  • 過去に禁固以上の刑を受けてから5年経っていない
  • 破産手続き中で復権していない
  • 暴力団員や関係者
  • 営業所の管理者が欠格要件に当てはまる場合
意外と見落とされがちなのが「法人で申請する場合は、役員全員が対象になる」という点です。ひとりでも欠格要件に該当すると許可が下りないため注意が必要です。

メルカリ・リユース事業で成功するための実践ポイント

古物商許可を取得すると、「法律を守れている」という安心感だけでなく、ビジネスとしての信頼性も高まります。ここからは、実際にメルカリやリユース事業で成果を出すためのポイントを整理しましょう。

小規模でも「古物商許可」は武器になる

「副業レベルで許可なんて大げさでは?」と思うかもしれません。ところが、許可を持っているかどうかは、取引相手からの信頼に直結します。
例えば…

  • 仕入れ先から「許可証の提示をお願いします」と言われても堂々と対応できる
  • 消費者に「この人から買っても安心だ」と思ってもらえる
  • 将来的に規模を拡大する際の土台になる

小さな一歩のようでいて、長期的に見ると大きな差を生むポイントです。

中古家電・中古車ビジネスに特有のチェックポイント

中古家電や中古車は人気ジャンルですが、その分リスクもあります。

  • 動作確認の徹底
    「安いから」と安易に仕入れると、不良品トラブルでクレームが増えます。
  • データ消去や安全管理
    スマホやパソコンはデータ消去が必須。専門ソフトを使うなど、購入者が安心できる体制を整えましょう。
  • 保管・配送の工夫
    中古車の部品や大型家電は場所を取るので、保管場所や発送手段をあらかじめ考えておくことが大切です。

こうした点を押さえるだけで、ビジネスの継続性は大きく変わります。

サステナブル時代に求められるECビジネスの心構え

最近は「安く買えるから中古を買う」というよりも、環境意識やサステナブル志向 で中古品を選ぶ消費者が増えています。
そのため、販売ページにちょっとした工夫を加えると好印象につながります。

  • 「リユースでごみを減らしましょう」など一言添える
  • 簡易包装や再利用資材を使う
  • メルカリの商品説明に「環境にやさしい選択」という視点を盛り込む

こうした姿勢は、消費者の共感を呼び、リピーター獲得にもつながります。

最初の一歩を踏み出すために

メルカリやリユース事業は、今の時代にぴったりの副業・ビジネスです。円安の影響で国内中古品の需要は高まり、環境意識の面からも「買ってよし・売ってよし」の流れが広がっています。

ただし、安心して続けるためには 古物商許可の取得が欠かせない ことも見てきました。

「やらなきゃ」より「やってよかった」へ

許可申請は書類準備や警察署への手続きなど、多少の手間はかかります。ですが、取得してしまえば不安なく活動でき、取引相手からの信頼も高まります。
一度やってしまえば、「やってよかった」と思える大切なステップになります。

許可を取ることが安心と信頼につながる

  • 副業でも「きちんとやっている」という安心感
  • 取引先や購入者から「信頼できる相手」と思ってもらえる
  • 将来、ビジネスを拡大する際にも土台になる

こうしたメリットを考えると、許可取得は単なる義務ではなく、長く続けるための投資 と言えます。

迷ったら専門家に相談するのも選択肢

「書類が複雑で不安」「営業所の要件がよくわからない」…そんなときは、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。自分だけで悩むより、プロのサポートを受けることでスムーズに進められます。

まとめ

・中古品ビジネスを続けるなら古物商許可は必須
・許可取得は「安心」と「信頼」への投資
・行動すれば、メルカリやリユース事業を安心して伸ばせる

「いつかやろう」ではなく、「今から動いてみよう」と思えたなら、それが第一歩です。